2021.11.04

対談

これまでのA/Bテストではできなかった、全体の体験価値を上げる施策を実施 – アコム株式会社のUX改善事例

これまでのA/Bテストではできなかった、全体の体験価値を上げる施策を実施 - アコム株式会社のUX改善事例

対談者の紹介

アコム株式会社
営業企画部 次長 齊藤雄一郎

2005年にアコム株式会社へ入社。営業部門、経営企画部門、マーケティング部門、事業開発部門にて、主に企画業務に従事。2019年より、現職にて事業開発、商品・サービス開発やチャネル戦略の責任者を務める。

アコム株式会社
営業企画部 係長 網本 直哉

アパレルの卸業者から、2013年に広告代理店にクリエイティブデザイナーとして入社。2017年に広告事業部賞を獲得し、同時に役職がクリエイティブディレクターへ。2019年にアコム株式会社入社。ホームページおよび入会申込フォームの運用・改善を担当。
現在はSEO、EFO、UI/UX改善に主に携わる。

株式会社WACUL
取締役 垣内 勇威

株式会社ビービットから、2013年に株式会社WACUL入社。改善提案から効果検証までマーケターのPDCAをサポートするツール「AIアナリスト」の立ち上げ、その後取締役に就任。2019年に産学連携型の研究所「WACUL Technology & Merketing Lab.」を立ち上げ、所長に就任。現在、 研究所所長および取締役CIO(Cheif Incubation Ofcer)として、DXコンサルティング、新規事業や新機能の企画・開発および大企業とのPoCなど長期目線での事業開発の責任者を務める。

A/Bテストは局所的な改善に偏りがち。課題は、全体を俯瞰した改善施策

垣内 まずは御社の事業について教えていただけますでしょうか。

齊藤 アコムは、40年以上消費者金融業界のリーディングカンパニーとして市場を牽引してきました。特に、「はじめてのアコム♪」で広告展開をしているカードローン事業は、当社の基幹事業になります。また、信用保証事業も展開しており、全国の金融機関のバックヤードで融資審査やオペレーションの支援、延滞債権の回収までをサポートしています。最後に、海外金融事業も展開しており、現在はタイ王国とフィリピン共和国に進出を果たしています。

垣内 今回お手伝いさせていただいたのは、より個人のお客様が触れる機会が多い、ローン事業の方ですね。新規のお客様を集客する部分についてお手伝いをさせていただきました。今回の案件に至る前に感じていた課題を教えていただいてもいいですか?御社は、沢山広告も回していらっしゃいますし、A/Bテストも数多くやられているイメージだったんですが。

齊藤 もちろん、デザインやテキストを変えてA/Bテストを数多くやってはいたんですが、少しずつ要素が違う特定の1ページについて、誤差のような数値の違いを見て「こっちの方がいいかな」と判断をするものだったんです。広告を見て訪問してくれたお客様が、どういった導線を辿るのかという視点を踏まえた結果の見方はできていなかった。 消費者金融をご利用いただくお客さまは、何日もかけてどこの会社を利用するか検討されるのではなく、「今日利用したい」という思いの下、あまり時間のない中、各社比較されているんですね。なので、もし、導線が悪かったり、申込みの手順が使いづらければすぐに代わりになるようなサービスを見つけて選んでしまう。せっかく広告からサイトを見に来てくださったお客様を気持ちよくお申し込みまで導くのはとても重要な仕事なんです。

垣内 なるほど。その課題解決をする際に、私たちをパートナーにしてくださったのはどうしてでしょうか?

齊藤 まず、今回は豊富なナレッジをお持ちの方にご相談できればと思っており、沢山の企業のコンサルをされていて、35,000サイトも見られてきたWACULさんに頼もしさを感じました。それから、WACULさんは「こうしたらいいよ」ということを遠慮なく言ってくださるし、その理由もロジカルに語ってくださるので、僕らがぼんやり立てていた仮説の後押しをナレッジでしてくださるのがすごくありがたかったですね。

新たに手に入れたのは、 課題を見つける “視点”

垣内 実際にいくつか改善策を提案させていただきましたがいかがでしたでしょうか?

齊藤 基本的に、WACULさんにはエントリーフォームの改善をお願いしていたんですが、その部分だけに留まらず、より全体的な改善をしてくださったのが印象深かったです。 これはたとえ話ですが、この間、首が痛くて病院に行ったら、痛めているのは首ではなく、腰だったんですね。原因箇所を表面的に捉えるのではなく、その真因を突き詰めることが大切だなと。WACULさんと接している時に、その記憶を思い出しました。「問題の本質はそこじゃないですよ」と正直におっしゃってくださる。 認知的ウォークスルー(ユーザー行動を調査する手法の一つ)を通して、本当の課題がどこかをまず見極めてくださって。検索周りからLPの構造、全体のブランドイメージも含めて、「お客様の気持ちになると、はじめにこういうことを伝えておいたほうが良いですよ」という、全体の訴求をストーリー立てて説明いただいたのがすごく有り難かったです。

垣内 ありがとうございます。特に覚えている具体的なエピソードはありますか?

網本 Webサイト内において、お客さまが不安や疑問を感じるかもしれないところがあるな、という課題感の認識が元々あったんですが、具体的な解決策が思いつかなかったんです。 でも、垣内さんが『こうしましょう!』と落とし込んでくれた案で、バッチリこの懸念が解決できそうだ、と光が見えました。

垣内 課題の提案から、施策への落とし込みまで相談させていただきましたね。

齊藤 あとは、WACULさんがいらっしゃるまで我々は、各項目の質問について「わかりやすいかどうか」についての議論をしていたんですよ。ですが、WACULさんにご指摘いただいたのは、 “質問の順番”。「申込フォームの一番上から、深く考えないと答えられないような質問を置いてしまうと、ストレスを感じて離脱してしまいますよね」というご指摘は、目からウロコでした。生活者目線でいうと当たり前なのかもしれませんけどね。 質問内容だけでなく、順番まで示唆をいただけたのは、やっぱりお客様の立場になって考えることが自然と染み付いていらっしゃるからだと感じて、これから我々も真似しなければならないと感じましたし、勉強になりましたね。

垣内 「ユーザーに脳を使わせない」のは大事ですよね。サクサク答えられるように質問項目を丁寧に作っていくことで、コンバージョンレートは大きく変わる。ベルトコンベアのようにスムーズにユーザーが理解できるように工夫すべきです。 他にもいくつか施策まで落とし込んで提案させていただきましたが、実施される予定のものはありますか?

網本 基本的には全て取り組んでみたいと思っています。申込フォームの注意書きなど、すぐに始められるようなものは既に進めていますね。ただ、当社は金融機関として、情報セキュリティポリシー上、システム開発に時間を要するものもありますから、そういうものはまず、開発スケジュールを設定するところからはじめています。

社内に浸透した、”お客様に考えさせない” “自ら一連の体験を試してみる” という思想

垣内 今回ご一緒させていただいたのは申込フォームの改善でしたが、お話しさせていただいたことで、他のプロジェクトでも参考になった内容などがありましたらお伺いしたいです。

網本 僕は今、Webサイトの改善を担当しているのですが、「無駄なものは省こう」「このテキストっているんだっけ」と考えるクセがつきました。まさにベルトコンベアのように、ユーザーがスムーズにアクションできるかどうかを意識して、各インターフェースをつくるようになったと思います。

齊藤 私はやっぱり「お客様に考えさせない」というキーワードが我々に大きく影響を与えたかなと思っています。社内の議論の中でも「これってお客様が悩んじゃうんじゃない?」という言葉が自然と出てきたりしますね。 それから、”診断コンテンツからLPに飛んで申込フォームに遷移する”といった、一連の体験の一貫性にも気を配るようになりました。実際に僕らも一連のフローを体験するということも、大切にするようになりましたね。

網本 僕も、自分で自社のサービスを定期的に体験してみることはすごく重要だなと感じるようになりました。たまに、『むじんくん(アコムの自動契約機)』に行くようになって、「こういう画面になっているんだ」「こんなポスターがこんなところに貼ってあるんだ」という気づきを得ています。他社の自動契約機に行くとさらに学びがあるので、自分で足を運んで体験してみることはすごく大事だなと思いましたね。

垣内 自分で体験するってすごく重要ですよね。私もWebサイトを見た後は必ず自分の行動を振り返っていますね。あとは、今回はできませんでしたが、お客様の行動を外から観察するというのも顧客視点に気づくという意味でいうと、役に立つかもしれないですね。

網本 垣内さんのように、様々なサイトを見てきた第三者にサービスを見てもらうということが重要だなとも感じました。気づかなかったインサイトが見つかりましたね。

齊藤 我々のお客様の体験する一連のフローって、基本的にはWeb上だけで完結しないんですね。カードを受け取るために店舗に来ていただいたり、審査のために必要なお電話をしたり、Web以外のところでお客様との接点がある。そこでお客様の声を聞くことができるのは、デジタルだけでやっていない我々だからこその強みだと思っています。 「ここで止まっちゃっているんだけどどうしたらいいの」「ここがわかりづらかったよ」というお問い合わせを店舗やお電話でいただくことができる。そういった、お客様からいただいている沢山のログが資産として残っていますし、電話やリアルでの応対もそういった声から改善点を見つけてきました。デジタルでも、店舗などと連携を強化して、お客様の声を聞いて、アコムと関わってくださるお客様の体験価値をあげていきたいですね。

垣内 嬉しいお言葉を沢山ありがとうございました。今後のデジタル施策についても何か方針はあるのでしょうか。

齊藤 お金を借りることが目的だという人はいないと思うんです。お金というのは、あくまで“実現したいこと”を叶える手段に過ぎないので、その実現したいことを「お客様に無駄に考えさせない」ことや、「手間を掛けさせない」ことで、黒子になってサポートすることが当社の使命だと思っています。 なので、アコムを利用してお金を借りたり返したりすることに、極力ストレスや手間をかけさせたくない。そういう思いを持って、オフラインの世界でも40年様々な改善をしてきました。デジタルの世界でも同じように “手間がかからない” “ストレスがない”というところを実現して、お客様が困っている時に、しっかりとサポートできるサービスをつくっていきたいと思いますね。

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