2020.06.26

研究レポート

コンテンツマーケティングで成果を上げる企業の共通点とは?ブログ・記事メディアの運営体制に関するアンケート調査結果

コンテンツマーケティングで成果を上げる企業の共通点とは?ブログ・記事メディアの運営体制に関するアンケート調査結果

調査に至った背景

営業・マーケティングのオンライン化に伴い再び注目を浴びているコンテンツマーケティング

コロナショックにより展示会などリアルな場を伴うマーケティング活動をおこなうことができない現在、オフラインで獲得していた接点をオンライン上で補うべく「コンテンツマーケティング」が再び注目を浴びている。コンテンツマーケティングという言葉に包括される施策は様々だが、代表的なのは自社が運営するブログ・記事メディア(オウンドメディア)においてコンテンツを公開し、リード獲得・売上創出を狙う方法だ。

この方法で成果を上げるためには、2019年7月に発表した研究レポート「B2Bサイトにおけるコンテンツマーケティングのあるべき姿についての提言」にもあるように、ブログ・記事メディアの運営に長期的に取り組む必要がある。

コンテンツマーケティングで成果を上げる企業の共通点を探る

しかしながら、一時期のブームとともに立ち上げたもののコンテンツの更新が止まってしまっているオウンドメディアが多数存在する状況を踏まえると、ブログ・記事メディアに長期的に取り組むことは決して容易ではないと言える。

そこで今回は、Googleアナリティクスより得られる定量データだけでなく、運営コストや評価方法にまで踏み込んだアンケート調査を実施。ブログ・記事メディアで成果を上げている企業とそうでない企業の違いを運営体制から明らかにすることで、コンテンツマーケティングを成功させるヒントを導き出した。

調査内容

ブログ・記事メディア運営企業にアンケートを実施

製品/サービスへの送客を目的としたブログ・記事メディアを運営している、もしくは運営していた企業を対象に、メルマガやSNSにおいてアンケート協力を依頼。15の質問に回答いただいた。

回答対象者

製品/サービスへの送客を目的としたブログ・記事メディアを運営している、もしくは過去に運営していた企業様

※本業としてブログ・記事メディアを運営している企業様は除く

有効回答数 41社
回答期間 2020年5月29日〜6月8日

調査結果

成果(売上)

図表1:Q1. ブログ・記事メディア経由で獲得したリードが売上に繋がり始めるまで、立ち上げからどれくらいの期間がかかりましたか?

アンケートに回答いただいた41社中、既に売上につながっている企業は26社(63.4%)、まだ売上につながっていない企業は15社(36.6%)だった。

既に売上につながっている企業のうち、売上につながり始めたタイミングとして最も多かった回答は「6ヶ月以上〜1年未満」(24.4%)だが、「3ヶ月未満」「3年以上」と回答した企業も複数ありバラつきがある。※メディアの立ち上げ年度と成果の関連性は後のQ4でも言及。

図表2:Q2. 直近1年の新規売上のうち、約何割がブログ・記事メディア経由で生まれていますか?

また、「新規売上のうち約何割がブログ・記事メディア経由で生まれていますか?」という質問に対し数字で回答いただいた15社の平均値は「約45%」であり、成功すれば新規売上に大きなインパクトを与えうる手法であることが分かる。

以下、既に売上につながっている企業とそうでない企業を比較することで、ブログ・記事メディアで成果を上げるポイントを探っていく。

属性

図表3:Q3. ブログ・記事メディアの主たるターゲットを教えてください
図表4:Q4. ブログ・記事メディアを立ち上げた年を教えてください

ターゲット(B2C/B2B)や立ち上げ年度と成果の関連性はほぼなかった。直近(2019年以降)で立ち上がったブログ・記事メディアであっても10社中6社が既に売上につながっていると回答している。

ただし、Q2.において「新規売上の3〜10割がメディア経由」と答えた成功企業11社のうち10社は「2018年以前」にメディアを立ち上げているため、売上のインパクトを出すためには1年以上の長期的な取り組みが必要だと言える。

記事公開本数

図表5:Q5. 直近1年の新規公開記事の月間平均本数を教えてください
図表6:Q6. 直近1年のリライト記事の月間平均本数を教えてください

記事公開本数について、新規は「月4本(≒週1本)」リライトは「月0本」と回答した企業がそれぞれ多かった。

新規記事公開本数は成果と関連性がなく、1日1本以上公開しているにも関わらず売上にまだつながっていない企業も見受けられた。ただしこれはあくまで直近1年の新規記事の月間公開本数であり、過去の研究レポートにおいて ”累計の記事本数” がPVやリード数に相関することは既に明らかにしている。

また、記事のリライトは全体だとほぼ半数が未着手であるものの、既に売上につながっている企業の約7割はリライトに取り組んでおり、成果を上げている企業の共通点の一つと言える。

PV・リード数

図表7:Q7. 直近1年の月間平均PVを教えてください
  全体 売上に
つながっている
まだ
つながっていない
月間平均PVの
中央値
70,000 90,000 8,500
図表8:Q8. 直近1年の月間平均リード獲得数を教えてください
  全体 売上に
つながっている
まだ
つながっていない
月間平均リード
獲得数の中央値
28 70 5

月間PV・リード獲得数は、売上につながっている企業とそうでない企業の中央値を比較すると明確に差が開いた。特にリード獲得数は14倍もの差がついており、棒グラフを見ても、まだ売上につながっていない企業はまずリード獲得数が十分でないことが分かる。

PVも中央値で10倍強の差があるが、月間10万PV以上獲得していてもまだ売上につながっていない企業が複数あり、リード数ほどは売上に直結しない指標であることが分かる。試しにPVとリード獲得数の両方を数字で回答いただいた企業15社においてコンバージョン率を簡易計算してみると、最小0.01%〜最大2.50%とかなりのバラつきがあった。

PVはただ増やすだけでなく、リード獲得につなげる工夫次第で成果が分かれると言える。

※具体的な工夫の方法は後述の提言にて

運営コスト

図表9:Q9. 1本の新規記事制作にかけている予算を教えてください
図表10:Q10.  運営に携わっている社内メンバー数を教えてください
図表11:Q11. 運営に携わっている社内メンバー数のうち、専任の人数を教えてください

それぞれの中央値は、1本の新規記事制作にかける予算が¥20,000、運営メンバー2人、うち専任メンバー1人という結果だった。専任メンバーが0人と回答した企業が18社(43.9%)もあり、兼任体制でメディアを運営している企業が多いことが分かる。

売上につながっている企業ほど運営に携わるメンバーの人数がやや多い傾向にあったが、新規記事制作予算と専任メンバー数は成果との関連性がなかった。これは「予算や人員を割いたからといって成果が伴うわけではない」という、シビアな結果と捉えることもできる。

効果検証・評価

図表12:Q12. 流入数やリード獲得数などのデータを見ながら効果検証をおこなう頻度を教えてください
図表13:Q13. 運営に携わっている社内メンバーの評価項目を教えてください(複数回答可)

効果検証の頻度は「週に1回」あるいは「月に1回」と回答した企業が29社(70.7%)と過半数を占めており、成果との関連性はあまり見受けられなかった。

一方運営メンバーの評価については、売上につながっている企業ほど「PV」だけではなく、「リード数」や「(リライト含む)記事公開本数」も評価項目に入っていることが分かった。

前述のとおりリード数は成果に直結する数値であるため、成果を上げる企業における共通の評価項目として挙がるのには納得がいく。また、記事公開本数はその数自体は成果に関連しなかったものの、運営メンバーのモチベーションを支える行動目標となっている可能性がある。

経営陣の関わり

図表14:Q14. ブログ・記事メディア運営に経営陣はどのように関わっていますか?(複数回答可)

「経営陣が立ち上げを主導した」と回答した企業は18社(43.9%)、「経営陣自ら記事執筆をおこなっている」と回答した企業は15社(36.6%)など、積極的に関わろうという姿勢が見受けられ、やはり売上につながっている企業ほどその傾向が強いことが分かった。

まだ売上につながっていない企業15社のうち半数を超える9社が「経営陣が運営に関わっていない」と回答していることも踏まえると、成果を上げるためには経営陣のコミットがある方がよいと言えるだろう。

パートナー会社の関わり

図表15:Q15. パートナー会社がある場合、依頼している業務を教えてください(複数回答可)

「パートナー会社はいない(内製)」と回答した企業は17社(41.5%)あり、パートナー会社がある場合は「SEO記事執筆業務」を依頼している企業が14社(34.1%)と最も多かった。

成果を上げるという観点では「内製の方がいい」「パートナー会社を頼った方がいい」といった傾向はなかった。また、数は少ないが「コンサルティング業務」を依頼している場合は当然ながら売上につながる確率が高い結果となった。

調査結果まとめ

ブログ・記事メディアで成果を上げる企業の共通点

  • 十分なリード数を獲得している
  • 記事のリライトに取り組んでいる
  • 運営メンバーが「リード数」や「記事公開本数」で評価されている
  • 経営陣が立ち上げ・運営に積極的に携わっている

本調査の提言

ブログ・記事メディアを活用したコンテンツマーケティングで成果(売上)を上げている企業の一番の共通点は、シンプルに「十分なリード数を獲得していること」だった。今回の調査結果と「AIアナリスト」に蓄積された知見をもとに、ブログ・記事メディアにおいて成果を上げる・リード数を増やすために実行すべき3つのアクションを提言としてここにまとめる。

1つ目は、PVをリードにつなげる、すなわちコンバージョン率を高める工夫をおこなうことだ。もし現在運営しているブログ・記事メディアにおいてどの記事も「お問い合わせ」に誘導しているのであれば、「ホワイトペーパーダウンロード」「メルマガ購読」など複数のコンバージョンポイントを用意し、コンテンツの文脈に沿ったオファーに差し替えることを最優先で対応すべきである。ノウハウが知りたくて流入してきたユーザーにどれだけ「お問い合わせボタン」をアピールしても、いきなりお問い合わせはしない。ユーザー視点に立ち、どういう声かけをされたらフォームを送信する気持ちになるのかを見直そう。

2つ目は、記事のリライトだ。自社のビジネスに関連しリード獲得につながる検索キーワードは有限なのだから、今まで公開してきた記事のPVやコンバージョン数、検索順位を振り返りながら以下の基準をもとにリライトを実施すべきである。

  1. PVはあるがコンバージョン数が少ない

    コンバージョンのハードルが高すぎる可能性があるため、上記のとおりコンバージョンポイントを見直す

  2. 検索上位は上がっているがPVが少ない

    検索結果画面においてタイトルの魅力が足りず競合に負けてしまっているため、クリックされるタイトルを目指し修正する

  3. そもそも検索上位に上がっていない

    作ったコンテンツと検索ニーズがズレている可能性が高いため、狙いたい検索キーワードにおけるユーザーの検索意図を改めて調査しコンテンツを作り直す

競合他社もコンテンツ制作に力を入れている今、元々検索上位をとれていたコンテンツであっても数カ月後には大きく順位が下がってしまうことが起き得る。よって定期的に効果測定・リライトを行うことが重要である。

3つ目は、経営陣が運営にコミットすることだ。全社の士気を上げ運営メンバーのモチベーションを維持するためには、経営陣が自ら記事執筆をおこなって背中を見せたり、運営メンバーを適切に評価する制度を整えたりすることが求められる。特に中規模以下の企業において、成果が上がるまでブログ・記事メディア運営をやり抜けるか否かは、経営陣が鍵を握っているといっても過言ではない。

また、「記事制作予算を増やす」「専任のメンバーを増やす」「内製にこだわる」「パートナー会社に依頼する」といったアクションは、それ自体に成果を上げる効力はない。成果を上げる・リード数を増やすために必要なリソースは何か?という視点で考え、適切な選択を行うよう心がけよう。

ブログ・記事メディアを活用したコンテンツマーケティングは、成功すれば新規売上の大部分を生み出せる可能性のある、非常にインパクトの大きな施策である。ぜひこの調査結果と提言をもとに粘り強くブログ・記事メディアの運営に取り組み、成果へとつなげていってほしい。

株式会社ベイジ 代表 枌谷氏のコメント

マーケティング施策の精度を突き詰めようとすると、「良質なコンテンツが必要だ」という結論になります。

オウンドメディアも、ホワイトペーパーも、メールマガジンも、セミナー/ウェビナーも、それらが有効だという話は、それらが良質なコンテンツである、ということが前提です。

しかしそもそも、良質なコンテンツとはどういったものでしょうか?どうすれば良質なコンテンツを作ることができるのでしょうか?良質なコンテンツが成果に繋がったという因果関係はどうやって確かめることができるのでしょうか?良質なコンテンツをどう分解すれば、成功因子が掴めるのでしょうか?

残念ながら、これらの問いに答えられる人はいません。もし答える人がいたとしても、それは信念や思想に極めて近い話になってしまいます。

コンテンツの成果がデータで追いにくいことも、コンテンツマーケティングやオウンドメディアの評価の難しさを助長しています。

オウンドメディア上のある良質な記事が、Aさんの心を捉えたとしましょう。その時点では、Aさんは記事を読んだだけで直帰します。しかしその記事のことは記憶に残っています。後日、社内で情報収集をしていたBさんにチャットで質問されたとき、その記事と運営会社のことを思い出し、Bさんにおすすめします。Bさんは社名検索でサイトに訪問し、コンバージョンします。

このようなケースを想定してみてください。

データだけ見れば、Aさんは直帰率100%でコンバージョンしていない、コンバージョンしたBさんはオウンドメディアなんて見ていない、となります。では、このオウンドメディアはビジネスに貢献していないのでしょうか?

当然ながら、そんなことはありません。

「コンテンツはマーケティングの暗黒大陸である」という話をすることがありますが、現時点では、データだけでは分からず、属人的な領域が大きいのが、コンテンツなのです。

このように不確実性が高い領域を扱う場合、「信じて突き詰められるか?」は、成功を左右する大事な条件になってきます。

事実、この調査のQ14においても、売上に繋がっている企業ほど経営陣が積極的に関与している、という結果が明らかになっています。コミットするのが経営者である必要はありませんが、権限を持った責任者がコミットしておらず、成果だけ求めてあとは丸投げ、といった類のコンテンツマーケティングがうまくいったという例を、私自身は知りません。

コンテンツは暗黒大陸ですが、だからこそコンテンツマーケティングには、既存のマーケティングの限界を突破する可能性が秘められています。不確実性が高いからこそ予想もしない方向に波及し、大きな作用を生み出す可能性があるのです。しかし、不確実性が高いからこそ、短絡的に成果を求めず、粘り強く成果を待てる、リーダーの姿勢が求められます。

コンテンツに前向きになれないリーダーに私から一つお伝えしたいのは、コンテンツマーケティングがうまくいけば、マーケティングに対してだけでなく、採用、組織作りなど、経営の様々な部分に波及する、ということです。

私たちベイジが、マーケティングの専門部隊を持たない小さな制作会社でありながら、2012年以降に4つのオウンドメディアを立ち上げるなど、コンテンツへの積極的な投資をひたすら続けてきたのは、単なる集客施策でなく、ナレッジ作り、組織作り、文化作りに繋がると考えてきたからです。

このような、経営全般に波及する効果にリーダーが気付ければ、単にコンバージョンを取ること以上の価値を見出し、大きな関心を持って取り組めるようになるのではないでしょうか。

WACUL 取締役CIO 垣内のコメント

コンテンツマーケティングには、運営チームの「情熱」が不可欠です。情熱なしに書かれた薄い記事は、刹那的に流入が増えたとしても、長期間の集客に貢献する「資産」にはなりえません。

検索上位に表示される記事を「猿真似」しただけの記事では、検索上位に一瞬表示されたとしてもすぐに陳腐化して順位は落ちていきます。加えて「猿真似」記事は面白くないため、CVにも繋がりづらく、SNSでも拡散されません。

今回の調査結果でも、経営陣の積極関与、運営メンバーのコミットメント(評価)が成果に影響することが明らかになりました。逆に、予算投下量やメンバー人数は成果に影響しないことが白日のもとにさらされる結果となりました。マーケティング担当者からよく聞かされる「予算や人が足りない」という発言は、言い訳に過ぎないのです。

「情熱」の質は、目標達成への「情熱」のみならず、ビジョン実現への「情熱」も求められます。本調査では明らかにできていませんが、企業が目指すべき方向を伝え、生まれた商品の魅力を伝え、社会に貢献した結果を伝えることが、独自性のある情報発信に繋がり、成果になって返ってくるのです。