2022.01.19

研究レポート

採用サイトは「面接直前」しか読まれない。採用サイトのあるべき姿を徹底調査

採用サイトは「面接直前」しか読まれない。採用サイトのあるべき姿を徹底調査

調査に至った背景

採用サイトで本当に必要なコンテンツはなにか?

求職者と企業の接点の一つである「採用サイト」は、企業によっては毎年作り替えられるほど重んじられている。しかしながら「競合他社より魅力を伝える」などゴールが定量的ではないことが多く、採用サイトは分析が深められていないWebサイトの代表例と言えるだろう。

求職者はどんなタイミングで、どんな情報を求めて採用サイトを訪れるのか。時間をかけて作った社員インタビューははたして読まれているのか。約300名の求職者へアンケートを実施し、採用活動におけるWebサイトのあるべき姿を提言する。

調査結果 – サマリ

入社した企業は「就職/転職活動前から社名を知っていた」という回答が60%

実際に入社した企業は「就職/転職活動前から知っていた」という回答が60%を占めた。これは大手企業に限らず、50名以下の小規模企業であっても同様である。社名が認知されていると指名検索されるだけではなく、求人サービス上で目に留まりやすくなるというアドバンテージにもなる。

求人情報を知るきっかけはあくまで求人サービスであり採用サイトではない

求人情報を知るきっかけとして最も多かったのは新卒中途ともに「求人サービス上で条件で検索して見つけた」であり、求人サービスは非常に重要なチャネルだ。検索結果一覧やスカウトメールの受信ボックスで目を引くことに全力を注ぐべきである。また、コーポレートサイトや採用サイトは「ここで働きたい!」と指名検索されない限り、求人情報をキャッチしてもらうきっかけにはならない。

Webサイトでチェックされるのは仕事内容や会社概要、インタビューはその次

コーポレートサイトや採用サイトは求人サービス上で求人情報を見た後、応募前のタイミングで主に訪問され、仕事・事業内容や会社概要といった基本情報が閲覧される。こうしたユーザーは全体の4割前後いる一方、社員インタビューや経営者インタビューといった採用サイトならではのコンテンツをチェックするユーザーは2割程度だ。求職者に求められている情報から拡充していこう。

就職/転職活動前へ本腰を入れる前に、自ら求人サービスを見にいくことはない

本格的に就職/転職活動をおこなう前から求人サービスに登録しているユーザーは一定存在する。しかし活動前から定期的にサービスをチェックするユーザーは数%程度であり、あくまでサービスを開くのはスカウトなどの通知があったときだけだ。つまり、採用広報という名のもと求人サービス上に社員インタビューなどのコンテンツをアップし続けても、新規ユーザーに認知されるきっかけにはならない。

応募動機は人それぞれ。新卒は大手か中小か、中途は職種で異なる

応募動機を調査したところ、新卒採用は就職先の企業規模によって特色が出た。大企業は労働条件、中企業は仕事内容、小企業はスキルアップが魅力に感じられるようだ。また、中途採用は職種によって異なる。接客サービス業や営業であれば勤務地や年収などの労働条件が重視されるが、エンジニアは仕事内容を重んじる傾向があった。

調査結果 – 詳細

調査項目

新卒・中途それぞれに対して

認知経路

Webサイトの閲覧状況

求人サービスの利用状況

応募/選考/内定承諾の動機

新卒採用

新卒>認知経路

Q.応募したすべての企業のうち、就職活動前からすでに名前を知っていた企業の割合はどれくらいでしたか?
Q.入社した企業の名前は就職活動前から知っていましたか?

社名を知っている企業とそうでない企業とでは圧倒的に後者のほうが求人数は多いはずだが、それでも「応募した企業のうち半数以上がもともと社名を知っている企業だった」と回答した人が43%を占めている。「社名を知られていないと応募されない」とまではいかないが、社名の認知度が高いと応募確率は上がると言えるだろう。

また、実際に入社した企業についても「就職活動前から社名を知っていた」割合が65%と高い。企業規模別に分けてみても以下の結果となった。

Q.入社した企業の名前は就職活動前から知っていましたか?(企業規模別)

消費財を扱うような大手メーカーであれば社名が知られていてもおかしくないが、50人以下の小規模企業の場合であっても、就職活動前から入社した企業の名前を知っていた割合が60%と高いのは驚きである。

Q.入社した企業の名前を就職活動前から知っていた場合、どこで知りましたか?(いくつでも)

就職活動前の認知経路として最も多かったのは「インターンシップ参加経験があった」で21%。あとには「その企業が提供しているサービスを使っていた」「テレビCMなどの広告で見かけた」が続く。この結果から、小〜中規模の企業はインターンシップ時期に接点をもつことが最重要と言える。

また、「その企業が運営しているWebメディアを見かけた」「SNSで企業や社員のアカウントを見かけた/フォローしていた」などの認知経路はインパクトは大きくないものの、莫大な予算や時間をかけずとも自分たちで拡大し得るチャネルだ。採用施策として取り入れるのは一つの手だろう。

Q.入社した企業の求人情報はどこで知りましたか?(いくつでも)

求人情報を見つけるきっかけは上から順に「求人サービス上で条件で検索して見つけた」が26%、「合同説明会など求人イベントで偶然見つけた」が18%と、求人サービス・求人イベントの影響力が強い。コーポレートサイトや採用サイトなど企業のWebサイトが求人情報を見つけるきっかけとなるのは指名検索された場合のみだ。

上記の質問について、就職活動前から社名を知っていたかどうかで傾向が異なるか分析してみたところ、社名を知らない場合は「求人サービス上で条件で検索して見つけた」が大多数を占めることがわかった。検索結果一覧でいかに目に留めてもらうかが重要だが、差別化が難しい・広告掲載プランが低いといった理由で競合に埋もれてしまう場合は、スカウトメールでカバーするしかない。

また、もともと社名を知っていた場合、指名検索に限らず求人イベントや求人サービス上で求人情報を見つけているケースも多い。もともと社名を知っている企業は求人サービスや求人イベント上で目に留まりやすいのだろう。

新卒>Webサイトの閲覧状況

Q.実際に入社した企業について、就職活動中に企業のWebサイト(コーポレートサイトや採用サイト)上でチェックした情報を教えてください。(いくつでも)

コーポレートサイトや採用サイトはおもに応募前と一次面接前に訪問される。チェック対象は「仕事内容」や「事業内容」、「会社概要」など基本情報が上位を占めた。また、採用サイトならではのコンテンツである「社員インタビュー」や「経営者インタビュー」の閲覧状況は2割強であり、応募前よりも面接直前にチェックされることがわかった。

新卒>求人サービスの利用状況

Q. 直近1年以内に就職活動をした際に登録した求人サービスを教えてください。
Q. 前の設問で「就職活動に本腰をいれる前から登録していた」と回答いただいた求人サービスについて、就職活動に本腰をいれる前の利用状況を教えてください。

よく利用されている求人サービスは「リクナビ」「マイナビ」であり、就職活動に本腰をいれる前から登録する人が30%前後存在する。ただし活動前から積極的に求人サービスをチェックするユーザーは数%〜1割強しかおらず、大半は「スカウトや新着求人の通知があればチェックする」程度である。

新卒>応募/選考/内定承諾の動機

Q.入社した企業について、応募→一次面接→内定承諾へと進んだそれぞれの動機を教えてください(いくつでも)

応募動機は「年収や勤務地など条件がマッチしたから」が35%と高い。また、選考に進む/内定を承諾する理由として「企業理念に共感したから」が挙がってくるのは新卒採用ならではの特徴である。

また、この回答は企業規模によって特徴が異なった。

小規模企業の場合、「スキルアップできそうだったから」応募する傾向が強い。

中規模企業の場合は「仕事内容が魅力的だったから」に票が集まった。

大企業は条件がマッチしたから応募する傾向が強い。また、「労働環境がよさそうだったから」が挙がってくるのは大企業ならではの特徴である。

中途採用

中途>認知経路

Q.応募したすべての企業のうち、転職活動前からすでに名前を知っていた企業の割合はどれくらいでしたか?
Q.入社した企業の名前は転職活動前から知っていましたか?

中途採用も新卒同様、入社した企業は「転職活動前から社名を知っていた」割合が60%を占める。企業規模別に分けてみると以下のとおりだ。

Q.入社した企業の名前は就職活動前から知っていましたか?(企業規模別)

※小企業:50人以下、中企業:51〜300名、大企業:301名以上

入社した企業の名前をもともと知っていた割合は小企業のみ45%に留まったが、中規模以上の場合は70%にも及ぶ。

Q.入社した企業の名前を転職活動前から知っていた場合、どこで知りましたか?(いくつでも)

転職活動前の認知経路として最も多かったのは「その企業が提供しているサービスを使っていた」で23%。BtoB企業であれば目の前のクライアントも採用対象になり得るということだ。続いて「家族や知人が働いていてた」「家族や知人からおすすめされた」など、人づてで企業を認知するケースも多い。これらは新卒にはない、中途採用ならではの特徴である。

Q.入社した企業の求人情報はどこで知りましたか?(いくつでも)

求人情報を見つけるきっかけとして最も多いのは「求人サービス上で条件で検索して見つけた」が40%と飛び抜けている。続いて「求人サービス上で偶然見つけた」が17%と、中途採用もやはり求人サービスが主な接点である。

社名を知らない場合は「求人サービス上で条件で検索して見つけた」が大多数を占めること、もともと社名を知っている場合でも求人サービス上で偶然求人情報を見つけているケースが多いことも、新卒採用の傾向とまったく変わらない。

中途>Webサイトの閲覧状況

Q.実際に入社した企業について、転職活動中に企業のWebサイト(コーポレートサイトや採用サイト)上でチェックした情報を教えてください。(いくつでも)

コーポレートサイトや採用サイトはおもに応募前に訪問されおり、新卒に比べて面接直前にチェックするユーザーは少ない。また人気コンテンツは変わらず「仕事内容」や「事業内容」などの基本情報であり、インタビューコンテンツは2割未満の閲覧に留まる。

中途>求人サービスの利用状況

Q. 直近1年以内に転職活動をした際に登録した求人サービスを教えてください。
Q. 前の設問で「転職活動に本腰をいれる前から登録していた」と回答いただいた求人サービスについて、転職活動に本腰をいれる前の利用状況を教えてください。

よく利用されている求人サービスは「リクナビNEXT」「マイナビ転職」。また、新卒採用同様、転職活動前に登録していたとしても定期的に求人サービスをチェックするユーザーは少数派であり、各サービス10%未満であることがわかった。

特に中途採用においては「採用広報」と称して求人サービス上に社員インタビューなどのコンテンツを積極的に投稿する企業も多いが、それらをきっかけに新しいユーザーに認知されることはほぼないだろう。

中途>応募/選考/内定承諾の動機

Q.入社した企業について、応募→一次面接→内定承諾へと進んだそれぞれの動機を教えてください(いくつでも)

応募動機は「年収や勤務地など条件がマッチしたから」が42%と高い。中途採用ならではの特徴は「労働環境がよさそうだったから」が上位に食い込んでくる点である。

また、この回答は職種別に特徴が出た。

接客・サービス(回答数40人)

接客・サービス業は圧倒的に条件重視である。その他の動機づけはあまり効かないとも言える。

営業(回答数19人)

営業職も同様に条件が重んじられているが、おそらく特に年収が重視されているだろう。

エンジニア(回答数15人)

一方、エンジニアは「仕事内容が魅力的だったから」という動機が強かった。

参考図

上記の結果をもとに、求職者のおおまかな行動を一覧にすると以下のとおりである。

参考図

調査概要

株式会社マーケティングアプリケーションズ社が提供するリサーチプラットフォームを活用し、直近1年以内に就職/転職をおこなった方へのアンケートを実施した。

本調査の提言

インターンシップ実施やWeb上での情報発信でとにかく社名を認知させる

採用活動を成功させる最大の要因は「社名の認知度」だ。社名を知るきっかけは「実際にサービスを使ったことがある」「テレビCMで見た」などが多いが、これらを限られた予算や時間で実現するのは難しい。よって採用担当者の力で認知を広げるには「インターンシップの実施」「WebメディアやSNSでの情報発信」など、地道な行動を積み上げていくしかない。

また、求人サービス内に社員インタビューなどのコンテンツを投稿しているケースをよく見かけるが、新規ユーザーに認知されるきっかけにはならないことをよく理解しておこう。

求人サービス内の検索結果一覧やスカウトメールで目を引くことに全力を注ぐ

求人情報を知るきっかけの多くは求人サービスだ。もともと社名を知られていない場合、なおさら求人サービス上で目を引くことが鍵となる。もし検索結果一覧で競合に埋もれてしまうのなら、スカウトメールに全力を注ごう。

採用サイトは社員インタビューより仕事内容から作り込む

コーポレートサイトや採用サイトは主に応募前に訪問され、仕事・事業内容や会社概要といった基本情報が閲覧される。「採用サイトといえば社員インタビューを作り込まないといけない」と盲信せず、求職者に求められている情報から拡充していこう。

総評

株式会社ベイジ 代表 枌谷氏のコメント

採用サイトは、顧客獲得目的のウェブサイトと違ってノウハウがあまり形式知化されておらず、いまだ勘と経験と想いだけで作られる傾向が強い。そのため、このような調査レポートの存在は非常に貴重である。その上で、当社経験も踏まえ、採用サイトを上手に作るためには5つのポイントがあると考えている。

1.求職者ファーストを徹底する

ポエムのような企業理念がまず読みたい求職者はいない。企業の「こう見られたい」ではなく求職者の「これが知りたい」を優先する。

2.コンテンツファーストを徹底する

求職者は採用サイトでリッチな映像が見たいわけではない。コンテンツが見たいだけ。視覚的な演出に溺れずしっかりコンテンツを見せる。

3.採用戦略を踏まえる

採用戦略がふわふわしてると採用サイトの方針もふわふわする。他社の真似ではなく自社の採用戦略に最適化する。

4.知らないことを前提にする

知名度のある企業と同じ土俵で考えない。この調査にある60%の「元々知ってる人」ではなく40%の「まだよく知らない人」を前提にコンテンツ化する。

5.ニッチ人材も大事にする

一人の優秀な人材が獲得できるだけで会社が大きく変わることがある。最大公約数発想だけで考えず、多様な出会いの可能性を高めるようコンテンツ拡充する。

こういったことも踏まえながらこの調査レポートを活用し、採用活動に貢献する自社ならではの採用サイトを作っていってもらえればと思う。

WACUL 取締役 垣内のコメント

採用サイトは、最も「自己満足の産物」になりやすいサイトの一つだ。求職者にとって自社がワンオブゼムであることを忘れ、自分たちの熱すぎる思いを注ぎ込んでしまう。

どれだけ作り込まれたサイトでも、エントリー前に閲覧される時間はわずか数分だ。忙しい求職者にとって、例えば、企業が言いたいことだけを垂れ流すビジョン動画、奇抜でおしゃれ風のデザイン、誰も読まない大量の社員インタビューなどは無用の長物である。

もちろん全てが無駄なわけではない。求職者が滞在してくれる限られた時間の中で、端的に情報を伝えるのは有効だ。

特に採用人数が少ない中小企業なら「1ページで分かる会社説明」というページが1枚あれば足りるだろう。当然だが、書き出しが「ビジョン」や「社長の想い」ではダメだ。同窓会で20年ぶりに再会した友人に「どんな会社で働いているの?」と聞かれた時、どう話すかをイメージしてほしい。いきなりビジョンを語りだしたらドン引きされるだろうし、そんな情報は友人も求めていないだろう。

マーケティングDXに関して
WACULへのご相談はこちら

お問い合わせ