競合他社のサービスサイトを同日に訪れるユーザーは約30%以下。Webでの競合比較調査からみえる改善策とは

調査に至った背景
“比較検討ユーザー” の実態を明らかに
数あるマーケティングのフレームワークの中でも最も一般的な「マーケティングファネル」には、「認知」「興味関心」「比較検討」「購入」という4つのフェーズが存在する。この影響もあってか、「ユーザーは当然自社と競合他社を比較している」という前提でWebサイトのコピーやコンテンツは作られることが多いだろう。想像で作られたカスタマージャーニーには「自社と競合他社をWeb上で比較する」というステップが含まれているに違いない。
しかしながら、実際にユーザーインタビューやアンケートをおこなってみると「他社はほぼ見ず御社だけに問い合わせました」というユーザーは一定数存在し、決して少数ではない。
そこで今回は、マーケットインテリジェンスプラットフォーム「SimilarWeb PRO」を用いて、特定の製品サービス群における競合他社のサービスサイト訪問状況を調査した。比較検討ユーザーの実態を明らかにすることで、サービスサイト、ひいてはマーケティング全体において成果を出すために取り組むべきことを提言する。
調査内容
競合他社のサービスサイトを同日に訪問している割合を調査
今回の調査では、SimilarWeb PROの「比較対象オーディエンス機能(※)」を活用し、競合他社のサービスサイトを同日に訪問しているユーザーの割合を洗い出した。
※比較対象オーディエンス機能:サイトAの訪問者(=訪問先)で、同日(分析対象国における0:00-23:59)にサイトB(=同時訪問サイト)も訪問した割合を表す。
調査対象は、商品カテゴリが明確に存在し、かつ同カテゴリ内に類似商品が複数あるため比較検討されやすい製品サービス群10種。導入数ランキングなどの情報にもとづき、1種につき5つの製品サービスを選出した。なお、SimilarWeb PROの仕様上サービスサイトはURL単位ではなくドメイン単位で調査をおこなっている。
B2Bサービス
MA(マーケティングオートメーション)
SFA/CRM(営業/顧客管理ツール)
ERP(基幹システム)
勤怠管理
採用管理システム
B2Cサービス
脱毛
クレジットカード
保険
家電
格安SIM
細かな調査条件は以下のとおりである。
使用ツール | |
|---|---|
対象となる製品サービス | 比較検討される傾向の強い製品サービス群 10種 |
分析対象国 | 日本 |
対象デバイス | デスクトップ |
データ抽出期間 | 2020年2月〜2020年6月 |
※調査結果はSimilarWeb PROのアルゴリズムによって集計した類推データであり、記載されたトラフィック等のデータは実データと異なる可能性がある
※調査結果における「N/A」は取得データが分析閾値を満たさないことを示す
調査結果
B2Bサービス
1. MA(マーケティングオートメーション)

※国内約18万Webサイトで利用されているWebサービス調査(2020年2月度) | DataSignより選出
2. SFA/CRM(営業/顧客管理ツール)

※【2020年最新】SFA(営業支援システム)人気ランキング|価格・機能・シェア別でご紹介 | SFA JOURNALより選出
3. ERP(基幹システム)

※ERPの上半期資料請求ランキング2020|ITトレンドより選出
4. 勤怠管理

※勤怠管理システムを比較!アンケートで分かった選定ポイントとは?|ITトレンドより選出
5. 採用管理システム

※【2020年最新】採用管理システムの人気・おすすめ製品を比較|選定で重要視するポイントを解説!より選出
B2Cサービス
6. 脱毛

※【2020年】人気脱毛サロン5社を徹底比較|ホットペッパービューティーより選出
7. クレジットカード

※価格.com – クレジットカード 人気ランキングより選出
8. 保険

※日本の保険会社ランキングTOP10!格付け、売上高1位は?| MONEY TIMESより選出
9. 家電

※家電量販店売上高ランキング! 小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】より選出
10. 格安SIM

※【2019年】専門家3人が評価!格安SIMおすすめランキング。デメリットも解説|新R25より選出
競合他社のサービスサイトを同日に訪問しているユーザーは約30%以下
調査の結果、比較検討されやすい製品サービスであっても、競合他社のWebサイトを同日に訪問しているユーザーは約30%以下だった。0〜10%未満のデータも多く、大多数のユーザーはサービスサイトを見比べながら比較検討していないと言える。
また、格安SIMのようにどの企業もテレビCMや交通広告等で幅広く認知を獲得しているようなB2Cの製品サービス群はやや比較検討されやすい傾向が見受けられた。
本調査の提言
サービスサイトにおいて、ユーザーの大半は競合比較をしていない。つまりほとんどのユーザーは、そもそも比較検討することなく購入へとまっしぐらに進む、あるいはサービスサイトを訪れる前に比較検討が済んでしまっているのだ。
前者の場合、ユーザーが比較検討しない要因は3つ考えられる。1つめは、テレビCMなどマス広告を通じて徹底的にサービスが刷り込まれているケース。2つめは、特にB2Bにおいて営業担当が直接フォローしているケース。3つめは、知人からの紹介や専門性の高いコンテンツなど、信頼に値する事前情報を得ているケースだ。
比較検討されない、すなわち受注率の高い商談を増やすためには、競合他社よりも圧倒的に広告予算を投下するか、営業担当が手厚くフォローするか、良質な製品サービス・コンテンツを提供するしかない。
後者の(サービスサイトを訪れる前に比較検討が済んでいる)場合は、外部のポータルサイトや比較サイトに掲載している情報を充実させることがまず重要だ。正しく魅力的な情報になっているか、定期的なメンテナンスが必要である。
いずれにせよ、CVR改善のために自社のサービスサイト上でできることは限られている。研究レポート「B2Bサービスサイト・ECにおけるユーザー行動調査」でも提言しているとおりWebサイトは読み流されるため、いかに気持ちよくCVへ直行してもらえるかがポイントだ。
また、今回の調査結果を踏まえ改めて心に刻むべきは、「競合調査よりもユーザー調査」だ。サービスサイトのコピーやコンテンツは、ユーザーが求めている情報になっているだろうか?競合との差別化ポイントばかりに目を奪われ、ユーザーにとってわかりづらい表現になっていないだろうか?……妄想ではなくきちんとユーザーの声を聞き、行動を理解し、適切な情報提供を心がけることが、成果を出す上でなにより大切である。
ギャプライズ マーケットインテリジェンス事業部 部長 奥原のコメント
数年前とは比較にならない程に世の中には情報が溢れています。
そのため、CDPやBIツールと言ったデータを統合しマーケティングに活用する大きな流れがあります。
また、ユーザーは以前よりも比較検討に多くの時間を使うようになりましたが情報が増え過ぎた結果、比較サイトやUGCマーケティングのように第三者視点での、意見を参考にするケースが増えています。
上記のように非常に短い期間で市場やユーザーの行動が変わっていく中で従来通りの方法で自社と競合分析のみ行い、施策を検討するのは仮説を立てる上での情報が片手落ちとなってしまい、十分な成果に繋がらなくなって来ています。
自社や競合の分析も重要ですが、市場の流れを把握し、顧客を正しく理解する事で失敗確率を下げ、着実に改善を進めることができます。
WACUL 取締役CIO 垣内のコメント
Web担当者の中には、競合サイトを針の穴が空くほどチェックしている人がいる。競合にはあるが、自社にはないページや機能を躍起になって開発する担当者も少なくない。
しかし本調査にもある通り、ユーザは思ったより「比較」をしない。確かに検索エンジンの普及により、簡単に競合他社と比較できるようにはなったが、ユーザはそんなに「面倒なこと」を好んでは行わない。特に「こだわりがない商品」や「友人の推奨があった商品」などは、できる限り脳を使わずに意思決定したがる。
競合の動向を真似るのは良いが、過度に意識する必要はないだろう。比較せずに意思決定されるということは、ユーザが商品を探し始めるより前に勝負が決まってしまっているということだ。つまり検索での上位表示やLP改善などで、顕在ユーザの刈り取りに躍起になるばかりでは伸びしろが限定的だ。ユーザの購買行動を理解し、一番成果の出る「ツボ」から押すように心がけたい。
本レポートをPDFダウンロードする