2024.10.08

マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査2024

マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査2024

調査に至った背景

企業が求めるマーケターの平均年収や転職意向を明らかに

近年、「マーケター不足」に悩む企業は少なくない。需要過多につき採用難易度はどんどん上がっており、年収も高騰。正社員の確保が難しいゆえに、フリーランス・副業人材の活用も盛んになっている。

弊社WACULのフリーランスのマッチング事業「マーケターエージェント」が2022年のリリース以降、右肩上がりで売上を伸ばしているのも、まさにマーケターが不足しているからこそだ。

今回は、マーケターの平均年収や転職意向について調査を実施。「20代後半から30代前半でWeb広告の経験者を採用したい場合、妥当な年収提示額はいくらか」など、マーケター人材を確保したい企業にとって参考となり得るデータをまとめた。

調査結果 - サマリ

マーケター175人の平均年収は773万円

当調査に協力してくれたマーケター175人の平均年収は773万円。なかでもフリーランスは970万円と、会社員の平均年収678万円に比べて292万円高い。会社員の年収は年齢とともに上がる一方、フリーランスは20代で年収1000万を超える人も決して少なくはない。

「経験3年以上」になると平均年収を超える傾向あり

マーケティングの経験年数と年収をかけ合わせてみると、「経験3年以上」で平均年収を超える傾向がある。なお、マーケティング施策のディレクション・運用だけでなく、戦略立案やマネジメント経験を積んでいるとより速やかに年収はUPする。

「サイト改善」は過半数、「マス広告」「SNS」経験者は20%以下

マーケティング施策のなかでは「サイト改善」の経験者比率がもっとも高く、過半数の人が3年以上経験したと回答した。一方で「マス広告」「SNS」は3年以上の経験者が20%前後と少なく、希少性が高い経験と言える。

企業が求めるマーケター人材は約47%が転職意欲なし

企業が求めるマーケター人材(25-35歳で、特定スキルあるいはマネジメント経験を3年以上持っている若手パフォーマー・マネージャー候補)は、そもそも人数が少ないのはもちろんのこと、約47%が転職をまったく検討しておらず、採用難易度が高いと言える。

転職を検討していない人の8割は「年収100万UP」でも心動かない

転職をまったく検討していない人に「もし仮に年収が大幅にUPするとしたら転職を検討しますか?」という質問を投げかけたところ、「年収50万UP」ではたった1.7%、「年収100万UP」であっても15.3%しか転職を検討しないことがわかった。

フリーランス・副業人材の9割は新規案件の受け入れ可

フリーランス・副業人材において、「リソースがなく新規案件は受けられない」と回答した人はそれぞれ10%以下。経験豊富であろう高年収のフリーランスにおいても、新規案件を受ける余力は十分にあった。

調査概要

現在マーケティングが主たる業務である人を対象に、メルマガやSNSにおいてアンケート協力を依頼した。

調査概要

調査結果 - 詳細

回答者属性

有効回答者175人の属性は以下のとおりである。

年齢・働き方

平均年収

年齢・働き方別に平均年収を算出。

なお、アンケート上では年収を「400-499万」「500-599万」といった選択式で回答してもらっているため、当レポートに登場する平均年収はいずれも「400-499万」→「450万」と変換して計算した概算数値である。

年齢・働き方別の平均年収

当調査に協力してくれたマーケター175人の平均年収は773万円。なかでもフリーランスは970万円と、会社員に比べて約300万円高い。また、会社員の年収はおおよそ年齢とともに上がっているが、フリーランスはそれに限らない。20〜30代で1,000万円前後の年収に到達している。

経験年数

「支援会社 / 事業会社」「BtoCマーケティング / BtoBマーケティング」「広告やSEOなど各施策のディレクション・運用」「戦略立案やマネジメント」など、複数の軸で経験年数を回答してもらった。

経験年数

各施策のディレクション・運用経験を比較してみていくと、「サイト改善」は過半数が3年以上経験したと回答。一方で「マス広告」「SNS」は3年以上の経験者が20%前後と少なく、希少性が高い経験と言える。

また、戦略立案やマネジメント経験に着目すると、「商品開発」「PL管理」の経験者は20%前後に留まるものの、「マーケティングの戦略立案」は3年以上の経験者が57.1%と非常に多い。推測するに、「マーケティングの1施策における方針を策定する」など、比較的ハードルが低い経験も「マーケティングの戦略立案」に含まれている可能性が高い。

平均年収 × 経験年数

上記のデータを組み合わせて、経験年数別の平均年収を算出。全体平均である773万円以上の数字を薄緑に、1,000万円以上を緑に着色した。

平均年収 × 経験年数

総じて3年以上の経験を積むと平均年収を超える傾向がある。現に、年齢による影響もあるだろうが、マーケター歴3年未満の平均年収(518万円)は、少なくとも1領域は3年以上経験している人(839万円)に比べると321万円低い。

また、「営業の戦略立案」「商品開発」「PL管理」「ピープルマネジメント」など、戦略立案やマネジメント経験を積んでいるほうがより速やかに年収がUPしていることがわかる。

転職意向

続いて、「転職意向」を働き方別・年齢別でグラフ化した。

転職意向・働き方

働き方別で見ると「フリーランス」における企業への就職意向は明らかに低く、66.7%が「まったく検討していない」と回答。

また年齢別で見ると、30代は前後半で転職意向に大きく変化があることがわかる。後半は「1年以内に検討している」人が15.6%にくわえて「いい就職先があれば検討したい」人が68.8%と、転職活動に前向きである。

なお、「転職をまったく検討していない」と回答した人にのみ、「もし仮に年収が大幅にUPするとしたら、転職を検討しますか?」という質問を投げかけたところ、以下の結果となった。

「年収50万UP」では転職意向はほぼ揺るがず、「年収100万UP」であっても15.3%しか転職を検討しないことが判明。「年収200万UP」でようやく39.0%が転職を検討すると回答したが、そもそも平均年収が高いことを加味すると、優秀なマーケターを採用したい企業にとっては厳しい現実といえる。

独立意向

「独立意向」についても、働き方別・年齢別にグラフ化した。

独立意向・年齢

働き方別で見ると「会社員+副業」のほうが明らかに独立意向が高く、「1年以内に独立したい」「いますぐではないが、将来的に独立したい」と回答した人が43.3%を占めた。

また年齢別で見ると、転職同様30代後半に独立意向が高まっており、キャリアアップを検討するタイミングであることが見受けられる。

企業が採用したいマーケター人材の平均年収・転職意向

以降、弊社WACULがクライアントのデジタルマーケティング支援(コンサルティング・人材紹介など)を実施するなかで定義した、「企業が積極的に採用したい3つのマーケター像」について、平均年収と転職意向を分析した。

企業が積極的に採用したい3つのマーケター像

A.若手パフォーマー:25-35歳で、3年以上経験した特定スキルを持っている人

B.マネージャー候補:25-35歳で、3年以上マネジメントを経験している人

C.CMO候補:35-50歳で、5年以上の特定スキル&マネジメント経験を持っている人

転職意向

「A.若手パフォーマー」「B.マネージャー候補」は約47%が「転職をまったく検討していない」と回答。この転職意向の低さ、くわえてそもそも人数が少ないことを踏まえると、改めて採用難易度の高さがうかがえる。

副業・フリーランス人材の稼働状況

いざ採用が難しい場合、企業は外部パートナーを頼らざるを得ない。副業・フリーランスに対して「いま新たに仕事を受けるとした場合、月にどれくらい稼働できるか教えてください」と尋ねたところ、以下の結果となった。

フリーランス

「リソースがなく新規案件は受けられない」と回答した人はそれぞれ10%以下であり、仕事を受ける余力は十分にありそうだ。

参考までにフリーランスは年収別でも空き状況を確認したところ、年収が高い、すなわち経験豊富であろうフリーランスにおいても約9割は新規案件を受け付けていた。

グラフ

本調査の提言

企業が求めるマーケターは採用難易度が高いことをまず理解する

「マーケティング部門の責任者を採用しようとしたが、半年以上内定承諾を得られず素人だらけの体制になってしまった」「同業出身者や複数のスキルを持つ経験者など、人材要件の理想が高すぎて面接設定すらままならない」など、マーケター採用に苦戦する声をしばしば耳にする。

当レポートを通じて、採用企業側はまず「求める人材ほど転職意欲は低い」「仮に年収100万UPでオファーを出したとしても転職意欲はたいして上がらない」といった厳しい現実を理解する必要がある。そのうえで、「比較的転職に意欲的な35-40歳をターゲットにする」「マーケティング未経験者も受け入れて社内で育成する」など、人材要件を一部見直しながら粘り強く採用に取り組むしかないだろう。

また、マーケターは独立すれば年収が跳ね上がりやすい職種であることを踏まえると、「会社員だからこそ得られる経験・環境」に魅力を感じてもらう工夫も求められる。

リソース不足ならフリーランス・副業人材の活用を

自社の課題が「リソース不足」なのであれば、正社員にこだわり過ぎずフリーランス・副業人材を活用するのは有効だ。フリーランス・副業人材などのプロ人材に仕事を依頼することは、同等のスキルを持った正社員を雇用することに比べると遥かに容易である。ベテランの外部パートナーとタッグを組むことは「正社員の育成の場」にもなり、一石二鳥だ。

マーケター採用が困難ないま、「外部パートナーを交えた体制構築」はマーケティング活動を推進するうえでのキーである。

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「戦略立案の経験あり」は要注意。面接時は具体的に掘り下げよう

過半数の人が「マーケティングの戦略立案を3年以上経験している」と回答していることから、「マーケティングの1施策における方針を策定する」など、比較的ハードルが低い経験も「戦略立案」と捉えられている可能性が高い。現に採用現場では、「経験豊富と聞いて採用したが、実際には作業者としてしか業務に関わったことがなくリードを任せられなかった」というミスマッチがしばしば起きている。

よって採用面接時に「戦略立案」など上流工程の経験について確認したい際は、具体的な行動まで掘り下げて聞くことを推奨する。「商品開発経験」や「PL管理経験」などに言い換えて質問するのも有効だろう。リファラル採用やリファレンスチェックを活用し、「(自己申告ではなく)客観的に見ても経験あり」と判断できる人を探すのも手だ。

株式会社キープレイヤーズ 代表取締役 高野秀敏氏(採用支援専門家)のコメント

マーケティング職種の採用ニーズは年々高まり、それゆえ経営者から直接、非常に多く依頼されます。しかし、年収800万から1,000万円の範囲では、採用はかなり難しいかもしれません。特にデジタルマーケティングの職種では、フリーランスになると、年収2,000万から3,000万円を稼ぐことがそれほど難しくないことに気づく人が多いです。

近年では、エンジニアに続いてマーケターもフリーランスやソロプレナー、つまり一人法人を始める人が増えており、雇われている時よりも自由に、そして高収入を得られるという認識が広まっています。

だからこそ、会社でしかできない、組織だからこそできる魅力を訴求し、条件も上げていかないと採用はできないのです。

株式会社キープレイヤーズ:https://keyplayers.jp/
代表取締役 高野秀敏

東北大→インテリジェンス出身。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。70社以上の社外役員、アドバイザー、エンジェル投資を日本国内、シリコンバレー、バングラデシュで実行。7社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。165社上場支援実績あり。バングラデシュで不動産会社、商業銀行の設立からの株主、渋谷のバーのオーナーなど。

WACUL 代表取締役 垣内のコメント

昔から「即戦力のマーケターを採用したい」という相談をよく受けます。しかし、本レポートの通り、候補者の数はそもそも転職市場に少なく、提示できる給与には限界があるため、「何年たってもマーケターを採用できない」という残念な状態に陥る企業が多くなります。

「正社員が無理なら、フリーランスを探そう」というのも浅い考えです。フリーランスは、正社員以上に見極めが難しいからです。多少のスキルがあっても、社会人マナーの乏しい人材が少なくないのです。社内調整まで含めて「自走して欲しい」という期待で成果を出せるフリーランスを探すのは困難を極めることでしょう。

私はむしろ社内にいる「マーケター候補」を登用することを推奨します。マーケティング業務の9割は「社内調整」です。社内で活躍する「社内調整」のプロフェッショナルを、マーケターとして「再発見」し、基礎的なリスキリングと、プロジェクトへのアサインを進めるべきでしょう。

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