2026.08.21
研究レポート生命保険会社のLP評価レポート2026〜CV直前のユーザーを取り逃がしている実態

大手生命保険会社6社が運営するランディングページ(LP)を調査した結果、全社において、売上を伸ばす勝ちパターンが半分も実施されていなかった。特に以下3項目はいますぐ取り組むべきである。
CTAは「資料請求」「見積もり依頼」など迷わせない文言にする
「ステップ式UI」で年齢・性別を選ばせながら資料請求へ誘導する
資料請求後1時間以内に初回架電、繋がらなければ1週間以内に追いかけきる
調査の背景
生命保険は「対面営業」で契約を積み上げてきた文化が根強く、デジタルマーケティングの成熟度は他業種に比べてあまり高くはない。
そこで本レポートは、大手生命保険会社6社が運用するLPを、デジタルマーケティングの勝ちパターンに沿って一律に評価。また、資料請求後の初動フォローについてもあわせてヒアリング調査をおこなった。
同業界において漏れがちな観点を洗い出し、売上を伸ばすための改善点を明らかにする。
LPにおけるユーザー行動
今回調査対象としたLPの主な流入経路はリスティング広告だ。ほとんどが「個人年金保険」等の商品カテゴリキーワードで流入を獲得している。
それらのキーワードでLPにたどり着いたユーザーは、既に商品カテゴリを絞り込み、複数社を比較検討している「CV直前」の状態にある。よってユーザーはLPに対し、「自分に合うかどうかの判断材料が “即座” に示されること」を期待している。
また、「フォーム入力が面倒くさい」「LP内のリンクで別ページに飛ばされた」など、わずかな躓きは “離脱” につながる。他のサービスに流れてしまい、自社のLPに戻ってくる可能性は極めて低いだろう。
保険業界のLPの勝ちパターン
ここから、生命保険業界におけるLPの勝ちパターンをチェックリストとともに紹介する
FV(ファーストビュー)設計
「どんな商品か」3秒でわかる
その商品は「誰向けか」3秒でわかる
CTA(資料請求ボタンなど)が置かれている
LPを開いた最初の3秒で、「自分が求めている商品と合致するか」が判断できなければ、多くのユーザーは戻るボタンを押す。シンプルにわかりやすく訴求することがなにより重要だ。
また、FVにCTAを置くことは定番の勝ちパターンの一つである。FVで押さえるべき基礎は弊社の過去研究レポート「BtoBにおけるランディングページ(LP)のベストプラクティスに関する調査」もぜひ参照してほしい。
CV設計
ステップ式UI(年齢・性別等の設問を1問ずつ選択させ、フォームまで自然に誘導する構成)が設置されている
CTAは「資料請求」「見積もり依頼」など迷わせない文言にする
フォーム入力画面は縦に短く、スクロールなしで項目が一覧できる
ステップ式UIとは、年齢・性別といったシンプルな設問を1問ずつ選択させてフォームまで自然に誘導するものであり、「資料請求ボタン」を1つ置くよりCV率が伸びる傾向がある。保険業界のように、最低限聞かなければならない情報(年齢・性別)がある商品と相性がよい。

また、生命保険業界に多い「無料相談」というCVポイントは、何を相談すればいいのか整理できていないユーザーにとってハードルが高く見えてしまう。CTAは「資料請求」「見積もり依頼」のように、迷わないアクションに設定しよう。
同様に、ユーザーのハードルを下げるためには、フォーム入力は “ラクに見える” ほうがいい。「入力が大変そう」だと感じられると離脱率が上がるため、複数ステップに分けて1ページあたりの表示項目を減らす、といった工夫は有効である。
モバイル・UX
モバイル最適化されている(レスポンシブ対応・適切な文字サイズなど)
不要なリンクが排除されている
BtoCサービスにおいてモバイル最適化は必須であり浸透もしているが、時折、スマホだと視認が難しい小さな文字を含む画像が貼り付けられているケースが見受けられる。シニア世代向けのLPということもあり、フォントサイズには一層配慮が必要である。
また、LPにおいてはグローバルナビゲーションは不要。左上のロゴからサービスTOPへの動線がある程度は許容範囲だが、基本的に別ページに飛ぶリンクはすべて排除すべきである。
資料請求後フォロー
資料請求から1時間以内に架電する
資料請求から1週間以内に、時間帯を変えながら5回繰り返し架電する
SMSあるいはメールで「次接点の予約」をおこなう(「◯日にお電話します」等)
仮にLPの完成度が高くても、資料請求後のフォローが遅ければユーザーは他社に流れてしまう。初動対応を担うインサイドセールスは、契約への歩留まりを大きく左右する重要な役割だ。
なによりも重要なのは、初回接触までの速さである。ユーザーは複数社を並行で比較検討しているため、他社よりも早く接触することが最終的な選択率に直結する。また、時間経過とともにサービス検討の熱は冷めていくため、1週間以内に目安5回、最低3回は架電して追いかけきりたい。このとき時間帯を変えながらアプローチすると通電率が伸びる傾向がある。
SMSやメールなど電話とは別のチャネルも積極活用し、「他社にはないメリットをお伝えしたい」などのベネフィットを提示しながら「◯日◯時に改めてお電話します」と次の接点を予約するコミュニケーションも有効だ。
採点結果
ここまでに紹介した勝ちパターンを採点項目へと落とし込み、大手生命保険会社6社が運用する老後資金・資産形成向けLPを100点満点で評価した。
採点は2026年8月にモバイル環境での目視でおこない、資料請求後フォローについては実際にCVしたユーザーへのインタビューで確認した。

6サイトすべてにおいて勝ちパターンが半分も実施されておらず、全体平均は100点満点中37.0点と極めて低い結果になった。
カテゴリ別に見ると、FV設計は全社高い水準である一方、CV設計と資料請求後フォローが低い水準にとどまる。ステップ式UIの導入や、1時間以内の初回架電を実現している会社はゼロという結果だった。
※なお、当調査は便宜上「老後資金・資産形成」関連の保険に絞り評価を実施しているが、「医療保険」や「がん保険」など他の保険においても、十数のLPを目視でチェックする限り同様の課題が見受けられた。
総じてどの企業も課題が山積みの状況ではあるが、以下、上位3社について特徴を紹介する。
上位企業の個別解説
1位:第一生命
資料請求後フォローで初週3回以上の架電を実施している数少ない1社であり、業界内で頭ひとつ抜けた。ただしFV内での商品訴求が弱く、ここを磨けばさらに差を広げられるポテンシャルがある。

2位:日本生命
商品名・訴求が3秒で伝わるFVは満点評価。ただし資料請求後フォローに課題が残る。

3位:アフラック生命
資料請求後フォローで初週3回以上の架電を実施している数少ない1社だが、フォントサイズが非常に小さい・FVに情報を詰め込み過ぎなど、可読性の低さが減点の対象となった。

本調査の提言
今回調査した生命保険6社のLPは、全社共通で、売上を伸ばす勝ちパターンが半分も実施されていなかった。FVは十分整っているものの、CV設計と資料請求後のフォロー対応に課題が残る。特に以下3項目はいますぐ取り組むべきである。
CTAは「資料請求」「見積もり依頼」など迷わせない文言にする
「ステップ式UI」で年齢・性別を選ばせながら資料請求へ誘導する
資料請求後1時間以内に初回架電、繋がらなければ1週間以内に追いかけきる
ビジネスモデルが近い医療系求人や不動産仲介・美容医療業界(≒営業が介在するBtoCサービス)においては、フォームの最適化やインサイドセールスが徹底されているのに対し、生命保険業界は総じて遅れをとっている印象だ。業界内での相対比較で満足することなく、デジタルマーケティングの勝ちパターンを積極的に取り入れ、売上UPにつなげてもらいたい。
WACUL 代表取締役 垣内のコメント
生命保険業界はCVが明確なビジネスのため、LPやインサイドセールスへの取り組みは進んでいると考えていたが、その実態は非常に遅れていたと言わざるを得ない。特に、CV後の架電フォローがなされていない企業が多い点は非常にもったいない。
生命保険は新規契約までの判断が難解な商材のため、対人での説明を求めるユーザが多い。そのため、資料請求などのCV後は必ず架電し、可能なら対面のアポイントメントを取る必要がある。
対面のアポイントメントを取る前提ならば、Web上で余計な説明をする必要もなくなる。Webページを閲覧しただけで、保険商材について正しく理解できるユーザはほぼ皆無だ。障壁の低いCVで顧客情報を取得し、最速で架電し、対面営業でクロージングすべきビジネスであることを忘れてはならない。
本レポートをPDFダウンロードする