生命保険NPSランキング2026〜接点が少ない契約者ほどNPSが低く、アップセルにもつながっていない〜

調査に至った背景

営業職員が減るなか、加入後の契約者との接点は保てているか

生命保険は、加入から契約解除まで数十年に及ぶ長期関係が前提となる商品である。本来であれば、加入後も契約者と接点を持ち、保障の見直しや追加の提案を重ねてLTV(顧客生涯価値)を高めていくべき商品と言える。

一方、人口減少により営業職員の数は減りつつある。その結果、加入後の接点が細っている会社が多いと考えられる。

こうした問題意識から、本調査では生命保険業界10社のいずれかに1年以上加入している20歳以上の男女470人にアンケートを実施し、各社のNPS(家族・友人に勧めたいか)を算出した。そのうえで、推奨者と批判者で、担当者との接点や追加提案の受け止め方にどのような違いがあるのかをまとめた。

調査結果 - サマリ

NPSの1位はソニー生命、2位は第一生命、3位はアフラック生命

加入している保険会社を家族・友人・同僚に勧めたいかを0〜10の11段階で聞き、NPSを算出した。1位はソニー生命の−29.4、2位は第一生命の−41.2、3位はアフラック生命の−41.5で、業界全体は−48.7だった。強く勧めたいと答えた推奨者の割合は10社いずれも15%未満で、推奨者が少ないのは生命保険という商材全体の傾向である。

接触が多い契約者ほどNPSが高く、アップセルにも成功している。年1〜2回の接触でも、接触ゼロよりNPSが約20ポイント高い

過去1年の接触回数別にNPSを見ていくと、接触ゼロで−59.0、1〜2回で−38.4、3〜5回で−25.5、6回以上で+7.7と、接触が多いほど高い。過去3年にアップセルの提案を受けて受け入れた契約者の割合も、接触ゼロの場合5.6%に対し、1〜2回で41.3%、3〜5回で58.8%、6回以上では76.9%に達する。接点が少ない契約者は、保険を人に勧めたいと答える人が少ないだけでなく、追加の契約にもつながっていない。

接触が最も多い日本生命でも、3人に1人は1年間接触がない

全回答者のうち、過去1年に担当者との接触がゼロ、あるいは覚えていない契約者は57.0%と半数以上だった。また、接触があった契約者の割合が最も高い日本生命でも、34.0%の契約者が同じ状態だった。担当者がよく連絡している会社でも、手が届いていない契約者が3人に1人いる。

保障の見直しの提案を受け入れる決め手は、内容と担当者への信頼。「しつこい」で断る人は4.6%

過去3年に保障の見直しや追加保険などの提案を受けた契約者169人のうち、69.2%が何らかの提案を受け入れていた。受け入れた決め手は「提案内容が自分に合っていた」と「営業担当への信頼があった」がともに37.6%で最も多い。断った理由は「必要性を感じなかった」34.4%、「保険料の負担が増える」27.5%が上位で、「営業がしつこかった」は4.6%にとどまる。むしろ「押しが弱かった・熱意がなかった」のほうが9.9%と多い。

調査概要

回答属性

各社の加入方法

加入方法の特徴から、10社を「営業担当者が中心」「代理店・窓口が中心」「ネット直販が中心」という3つのカテゴリに分けている。担当者がつかない売り方の会社は、担当者との接点の数値がどうしても低く出るため、会社どうしを比べるときは同じカテゴリの中で比べてほしい。

調査結果1:NPSランキング

10社のNPSランキング

本レポートでは、加入している会社を家族・友人・同僚に勧めたいかを0〜10の11段階で尋ね、9〜10点を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」と呼ぶ。推奨者の割合から批判者の割合を引いた値を、NPS(ネット・プロモーター・スコア)と呼ぶ。

10社のNPSは、1位のソニー生命が−29.4、10位の第一ネオ生命が−70.6で、40ポイント以上の開きがあった。業界全体の−48.7を上回ったのは、ソニー生命、第一生命(−41.2)、アフラック生命(−41.5)、チューリッヒ生命(−45.8)、日本生命(−48.0)の5社である。1位のソニー生命は、批判者が43.1%と10社で最も少ない。

業界全体のNPS分布

業界全体では、推奨者10.0%、中立者31.3%、批判者58.7%で、NPSは−48.7だった。推奨者の割合は10社いずれも15%未満である。生命保険は友人・同僚に勧めることはあまりなく、紹介するとしても家族が前提になるため、推奨者が少ないのは商材全体の傾向と言える。

調査結果2:担当者との接点

全体の傾向

担当者がいると認識している契約者は53.0%。半数近い47.0%は担当者がいると認識していない。

担当者の連絡先を携帯電話・LINEに登録している契約者は30.4%。「聞いていない/知らない」が43.4%と最も多い。

過去1年に1回以上接触があった契約者は43.0%で、接触ゼロが41.5%、覚えていないが15.5%だった。

接触の手段は電話が45.5%と最も多く、対面訪問(31.2%)とメール(30.2%)が続く。LINEやアプリのメッセージは19.8%、郵送は11.9%だった。

推奨者と批判者の比較

差が最も大きいのは連絡先の登録で、推奨者55.3%に対し批判者20.7%と2.7倍の開きがある。過去1年の接触も、推奨者61.7%に対し批判者34.1%だった。

接触が多いほど推奨者が増え、批判者が減る。NPSは接触ゼロで−59.0、年1〜2回で−38.4、年3〜5回で−25.5、年6回以上で+7.7と、接触回数が増えるほど高くなった。

LINEやアプリのメッセージでの接触は推奨者34.5%に対し批判者10.6%と3倍以上の差がある。郵送だけは逆に批判者の側に多く(推奨者3.4%、批判者14.9%)、郵送での案内は推奨にはつながっていないことがうかがえる。

10社の比較

営業担当者が中心の5社は、担当者の認識・連絡先の登録・接触がおおむね業界全体を上回り、日本生命は3項目とも最も高い。住友生命は担当者の認識が70.0%と高い一方、連絡先の登録と接触は業界全体と同じ程度にとどまる。代理店・窓口やネット直販が中心の会社は、3項目ともおおむね業界全体を下回る。

「接触がなかった」は、過去1年の接触が「0回」または「覚えていない」と答えた契約者。営業担当者が中心の5社はいずれも、接触がなかった契約者のNPSが−52.2〜−92.9で、業界全体の−48.7を下回る。一方、代理店・窓口やネット直販が中心の会社は、接触の有無によるNPSの差が小さい。担当者がつかない売り方では、接触そのものより、保険料や保障内容への納得など、別の要素で評価が決まっている可能性がある。

調査結果3:接触の中身

全体の傾向

「挨拶があった」55.4%が最多で、「今の保障内容の説明」33.2%、「保険見直しの提案」26.7%が続く。一方、「請求できるのに忘れがちなケースの説明(請求勧奨)」は7.4%にとどまる。

「期待通りだった」が69.8%と最も多く、「期待よりも多かった」は19.3%、「期待よりも少なかった」は10.9%だった。

担当者への満足度は「満足以上」(とても満足+満足+やや満足)が56.4%で、最も多いのは「どちらともいえない」の34.2%だった。

推奨者と批判者の比較

推奨者と批判者の差が最も大きいのは、万一のときの連絡先の説明(24.1%と6.4%)と、請求できるのに忘れがちなケースの説明(20.7%と5.3%)で、どちらも4倍近い。

担当者からの連絡の頻度が、自分の期待より多かったと答えた割合は、推奨者48.3%に対し批判者16.0%と3倍の差がある。期待より多く連絡を受けた契約者のNPSは−2.6で、期待通りだった契約者の−33.3を上回る。

10社の比較

過去1年に接触があった契約者のうち、担当者に満足以上と答えた割合は、第一生命75.0%、日本生命72.7%、ソニー生命71.4%が高い。日本生命は連絡が期待より多かったと答えた契約者も33.3%と、営業担当者が中心の5社で最も多い。

調査結果4:提案と受け入れ

全体の傾向

過去3年に何らかの提案を受けた契約者は36.0%で、「提案は一切受けていない」が43.0%、「覚えていない」が21.1%だった。提案の種類は「保障内容の見直し・最新化」14.7%、「追加保険」10.6%、「保険料の見直し」9.8%、「ライフステージの変化に合わせた提案」9.1%、「請求できる給付金の案内」8.5%である。

提案を受けた契約者169人のうち、「すべて受け入れた」22.5%、「受け入れたものも、断ったものもある」46.7%、「すべて断った」30.8%で、69.2%が何らかの提案を受け入れている。

なお、本レポートでは、過去3年に保障の見直しや追加保険などの提案を受け、一部でも受け入れたことを「アップセルに成功した」としている。過去1年の接触回数別に見ると、アップセルに成功した契約者の割合は、業界全体の24.9%に対し、接触ゼロでは5.6%にとどまり、1〜2回で41.3%、3〜5回で58.8%、6回以上で76.9%と、接触が多いほど高かった。

受け入れた決め手は「提案内容が自分に合っていた」「営業担当への信頼があった」がともに37.6%で最も多く、「価格・保険料に納得できた」35.9%、「タイミングが良かった」31.6%が続く。

提案を断った契約者131人の理由は、「必要性を感じなかった」34.4%、「保険料の負担が増える」27.5%、「提案内容が自分に合わなかった」23.7%が上位だった。「営業がしつこかった」は4.6%で、「営業の押しが弱かった・熱意がなかった」の9.9%の半分にとどまる。

推奨者と批判者の比較

提案を受けた割合は推奨者46.8%に対し批判者28.3%、提案を受け入れた割合は86.4%と60.3%で、どちらも推奨者のほうが高い。ただし、批判者でも提案を受けた人の6割は受け入れている。

10社の比較

過去3年に提案を受けた契約者の割合は、第一生命47.1%、日本生命46.0%、明治安田生命43.1%が高い。提案を受けた契約者のうち受け入れた割合は、多くの会社で6〜8割と大きな差がない。

本調査の提言

接触ゼロの契約者をなくせ。接点が少ない契約者ほど、NPSもアップセルの成功率も低い

本調査では、過去1年に接触がなかった契約者のNPSは−59.0で、業界全体の−48.7を下回り、アップセルに成功した割合も5.6%と、業界全体の24.9%の4分の1以下にとどまった。接触が最も多い日本生命でも、3人に1人は過去1年に接触がない。よって、接触がなかった契約者を担当者任せにせず会社として把握し、接触ゼロの契約者をなくすべきである。接触の手段は対面訪問に限らず、LINEやアプリのメッセージでもよい。

接触したら、保障の見直しや給付金の案内まで届けよ。「しつこい」とは思われていない

本調査では、提案を受けた契約者の69.2%が何らかの提案を受け入れており、決め手は「提案内容が自分に合っていた」「営業担当への信頼があった」(ともに37.6%)が多かった。一方、提案を断った理由に「営業がしつこかった」を挙げたのは4.6%にとどまる。よって、接触を挨拶だけで終わらせず、「しつこいと思われる」ことを恐れずに、契約者に合った保障の見直しの提案や、請求できる給付金の案内を届けるべきである。

WACUL 代表取締役 垣内のコメント

継続して顧客に会うことは有効だが、会うことだけが目的化した、用のない連絡は嫌われやすい。例えば、誕生日のお祝いで顧客に電話するような施策はネガティブな印象を持たれやすい。保険の営業担当は友達ではないので、唐突に誕生日を祝われると少し気持ちが悪いと感じてしまう。しかし、単なる誕生日のお祝いではなく、「年齢があがって必要な保障が変わる」など、保険のプロフェッショナルとしての連絡ならむしろ喜ばれる可能性が高い。さらに言えば、電話よりも、メールやDMなど、相手の時間を拘束しない連絡手段の方が好まれる。常に顧客視点を持ち、限られた営業リソースを有効活用していきたい。


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