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2024.01.31

株式会社WACUL執行役員の安藤健作です。
2024年、デジタルマーケティングの世界は更なる進化を遂げています。このレポートでは、メールマーケティングが今後どのように変化し、企業や組織がこの変化を取り入れていくべきかに焦点を当てます。昨年発生した出来事と業界の動向を分析し、今後のメールマーケティング戦略についての洞察を提供します。
デジタルコミュニケーションの不可欠な要素であるメールは、その効率性、パーソナライゼーション、及び新しいテクノロジーとの融合により、2024年においても重要なマーケティングツールであり続けるでしょう。本レポートを通じて、読者の皆様がメールマーケティングの可能性を最大限に引き出し、ビジネスの成功に貢献するための洞察を得られることを願います。
昨年10月にGoogleおよびYahoo!がメール送信者ガイドラインのアップデートを行いました。ガイドラインの変更された点や対応についての詳細はこちらのレポートをお読みいただければと思いますが、ポイントをかいつまんで申し上げると「なりすまし対策への対応が必須」とされたという内容になっています。
メールマーケティングの最終的な目標は「読者の態度変容」ですが、そのためにはなによりも「自社の配信したメールが、読者のメールボックスにて正常に表示されていること」が前提となります。
宛先が間違っていない限り、基本的にはすべてのメールは相手先のメールサーバに届きます。しかし、そのメールの中には正規のメールと、悪意のある第三者による迷惑メールとが混在している状態です。そのままではメールの受信者は自身にとって必要な情報が見付けられないだけではなく、フィッシングサイトへの誘導などといった犯罪行為に巻き込まれてしまうこともあります。
そこで、迷惑メールフィルターは、正規のメルマガと迷惑メールとの判定を様々な角度から実施し、悪意のある迷惑メールを迷惑メールフォルダに隔離することでメールの受信者を保護しています。
数ある迷惑メールのうち、特に問題視されており、フィッシング詐欺において重要な役割を果たしているのが、差出人情報(Fromアドレス)を実在の企業や団体の名前を騙る「なりすましメール」です。
このなりすましメールへの対策として、各企業・団体は最低限「SPF・DKIM・DMARC」という認証技術への対応を行う必要があります。
今回Googleは、メルマガ送信者に対し、今年の2月1日までになりすまし対策への対応を終わらせることを求めており、Yahoo!についても今年の第一四半期中に対応を義務付けると発表しています。遅かれ早かれ、他のメールサービスプロバイダーもこれに続くでしょう。
さらに、Googleは「迷惑メール率は0.10%未満を維持」「1クリックでの購読解除の必須化」「TLSでの送信を使用」といったことも求めています。
認証技術への対応を終えたからといって安心してはいけません。自社が正しくメールマーケティングを運用できているか、また、自社が使用しているメール配信システムはGoogleの求める仕様を満たしているかということも、責任をもってきちんと追いかける必要があるのです。
メルマガの担当者は開封率やクリック率の向上へ向けた取り組みだけではなく、このような技術的な動向についても着目しなければいけません。
昨年6月の「WWDC2023」では同年9月にリリースされるiOS17で、プライベートブラウジング機能におけるリンクのトラッキング処理について以下のように発表がされました。
“Some websites add extra information to their URLs in order to track users across other websites. Now this information will be removed from the links users share in Messages and Mail, and the links will still work as expected. This information will also be removed from links in Safari Private Browsing.”
“一部のWebサイトでは、他のWebサイトでユーザーを追跡するためにURLに追加情報を追加しています。今後、この情報はユーザーがMessagesやMailで共有するリンクから削除されますが、リンクは引き続き期待どおりに機能します。この情報はSafariプライベート ブラウジングのリンクからも削除されます。”
これは、メールコンテンツ内のリンクの追加情報(パラメータ部分)をApple側が自動で削除するという話で、ユーザーがこの機能を使用した場合、メール配信側にはクリックの情報が通知されないことになります。
つまり、一部のiPhone利用者(厳密にはiOS17以降のハードでsafariを利用しているユーザー)に対して送信したメールのクリック情報を知ることができなくなるということです。
あくまでもプライベートブラウジング機能を利用しているユーザーに限った話ではありますが、配信リストの中にiPhone利用者が多数いるBtoC企業では少なからず影響が出そうです。
特にMA(マーケティングオートメーション)ツールを利用している企業で、メールのクリックをトリガーとしてシナリオを分岐させているケースなどでは注意が必要です。
2年前の「WWDC21」では、プライベートブラウジング機能を利用することでメールの「開封」情報が秘匿されましたが、それに続いての今回の発表に翻弄された担当者も多かったことと思います。
Apple社の仕様によるものなので、配信側で何かコントロールできるわけではありませんが、少なくともメールアドレスが「@icloud.com」で終わっているものに関しては、これらの影響を受けている可能性があるという点は頭に入れておきましょう。
これらの変更は現在のところApple社が中心となっていますが、今後他のメールサービスプロバイダにおいても同様の仕様を取り入れる可能性があります。
メルマガ担当者は開封率・クリック率だけを追いかけるのではなく、自社のメールマーケティングについて新たな成功指標を考える必要があります。
MAツールの活用が広まるにつれ、メルマガのコンテンツをユーザーの「購入履歴」をもとに個別化(パーソナライズ)して配信することが容易になり、多くの企業が取り入れるようになってきました。
しかし、メールマーケティングにおけるパーソナライズメールとは、なにもメルマガのコンテンツに限った話ではありません。
まず、想像しやすいところでいうと「件名」と「差出人名(Fromアドレス)」です。
件名に宛先の方の名前を入れることは多くの企業で取り入れられています。例えば「安藤様、お誕生日おめでとうございます」のようなものです。
他にも、お客様に対して専任の担当者が付くような企業であれば、「件名」と「差出人名(Fromアドレス)」をそのお客様の担当者の名前にすることも有効です。
件名 | 差出人名(Fromアドレス) | |
|---|---|---|
一般的なメール | 新商品のご案内 | 株式会社A (info@example.co.jp) |
個別化されたメール | (担当名)より、新商品のご案内です | (担当名)(担当@example.co.jp) |
読者は認知している差出人からのメールを優先的に開く傾向にありますので、このような方法はとても有効なのですが、取り入れている企業はまだまだ少ないようです。
また、他のパーソナライズ例としてはコンテンツ内のリンク先を、宛先ごとに変えるという手法もあります。
例えば、BtoB企業において課題が顕在化していない方(潜在層)に送付するマーケティングメールで、過去のセミナーの参加有無を分岐として、コンテンツ内のURLのリンク先を「導入事例集のダウンロード」と「ホワイトペーパーのダウンロード」に分けるといったような使い方です。
やっていることは配信リストをグルーピングして配信する「セグメント配信」と同じなのですが、固定化しがちなグループと異なり、条件を適宜変更できることや、コンテンツを作成する手間が一度で済むことなどが違いになります。
そして最後が「配信頻度」と「タイミング」です。読者がメルマガを読む頻度と時間帯に合わせてメールを配信することで、読者の目につく確率を高めることができます。
配信頻度については、「新商品案内」・「セミナーの紹介」・「新着記事の案内」のようにコンテンツの種類によってメルマガのグループを設定し、読者が読みたいものだけを読めるようにすることでコントロールすることができます。
これらご紹介した手法については、MAツールやメール配信システムの機能がどこまで対応しているかで実現可能性も変わってきますが、パーソナライズ=コンテンツの差し替えではなく、もっと広い視野でメールマーケティングに取り組んでいただければと思います。
メールマーケティングという言葉が定着し始めて数年が経ちましたが、まだまだ開封率やクリック率といった指標のみ追いかけている企業が多いのが事実です。
このタイミングでのGoogleのガイドラインの変更は、メルマガ担当者にとって非常に厄介なことであることには違いありませんが、技術面を含めた正しいメールマーケティングに向き合うチャンスでもあります。
メールマーケティングに関わる一人として、今年が皆様にとって飛躍の年になることを切に願います。
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