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2024.12.10

デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業競争力の鍵となるなか、東急不動産ホールディングスでは、「ブリッジパーソン」をテーマにDX推進人材育成に積極的に取り組んでいます。WACULは、2024年からこの研修設計・運営プロジェクトに参加。
上期の研修を終えて、研修内容や効果について、同社のグループCX・イノベーション推進部 木下様、清水様に、WACUL 松尾がお話を伺いました。
東急不動産ホールディングス株式会社
グループCX・イノベーション推進部 デジタル戦略グループ 主任
東急不動産ホールディングス株式会社
グループCX・イノベーション推進部 デジタル戦略グループ

松尾 お二人が所属するグループCX・イノベーション推進部 デジタル戦略グループではどのような業務をされているのでしょうか。
木下 東急不動産ホールディングス全体のDX推進人材の育成が主なメインミッションとなっており、習熟度に応じた研修プログラムの企画や運営を行っています。
また、東急不動産全体の各ユニット内で行われているデジタル施策の伴走もミッションとなっています。DX支援を事業として行う企業と日頃から接点を持ち、課題抽出からありたい姿の言語化、デジタル施策の導入や運用などの支援を行っています。
清水 デジタル施策に関して、東急不動産だけでなく、東急不動産ホールディングスの傘下にあるグループ会社の支援や各社を取りまとめたり、つないだりといった役割も担っています。研修プログラムでは偏ることなく様々なグループ会社より参加してもらうというのも重要なミッションとなっています。
松尾 御社では「ブリッジパーソン」をテーマに掲げてさまざまな施策を行っていますが、人材育成に関する施策はいつ頃から始められたのでしょうか。
木下 2021年頃からは、デジタルをビジネスに落とし込んでプロジェクトを推進していくためには、ITを所管する部署に所属している人材だけではなく、事業部に所属する人たちもデジタルに関する知識を当たり前のように使ってビジネスを行うことが必要になると判断し、人材育成に注力しています。
当初は動画コンテンツを視聴する形を取っていましたが、それだけでは知識の定着に至らない場合が多かったので、オフラインでの研修やワークショップの実施に切り替えています。

出典:東急不動産ホールディングス 2023 DXレポート
松尾 御社ではDX人材育成関連の研修を行う場合、どのような方をターゲットにしているのでしょうか。
木下 今回WACULさんにご提供いただいた研修の場合は、入社5年目から15年目くらいの、主任や係長、課長補佐といったマネージャー未満の社員をメインターゲットにしています。昨年度から通年でやり始めました。
一方、事業承認者や権限者などのレイヤーに対しては、別途マインドセットの研修などを行っています。
松尾 今回、我々が研修を実施させていただきましたが、WACULを選んだ決め手はなんだったのでしょうか。
木下 一般的な研修会社さんでは、研修がパッケージ化されていることがほとんどです。それはそれでいいところもあるのですが、研修の事後アンケートを見ると、「全然違う業界の内容が出てきて、参考にならない」という声を多くいただくことがあります。
すでにWACULさんにはコンサルティングで我々の事業に入っていただいており、東急不動産および東急不動産ホールディングスの事業理解があるので、パッケージで用意されているものではなく、我々とコンテンツを作り上げながらやらせていただくというところに、魅力と価値を感じてお願いしました。
松尾 膨大なExcelシートを使って、何をやるか詰めていきましたね。
木下 結局1年くらいかかりましたね。
松尾 御社のこだわりとして、具体例、具体案件でやりたいという話と、ワークショップは絶対入れてほしいということでした。この辺りは、現場から座学だけでは実にならないという意見があったということでしょうか。
木下 おっしゃるとおりです。実際に会場に行って、手を動かすという体験が伴わないと身に付かないと思っています。ただ議論をしてもらうだけではなく、ワークショップで何をするかが重要です。完璧な正解はないと思いますが、こうしたら良いんだという成功体験を、ワークショップを通じて感じてもらえるようなコンテンツにすることを意識しました。
松尾 実施した研修では、顧客調査、サイト、広告、SEOと幅広いジャンルを扱ったので、かなり詰め込んだ印象がありました。研修後の受講者の方の声というのはどのようなものがありましたか?
清水 研修終了後の参加者アンケートでは満足度、理解度ともに高い結果を得られました。難易度に関してもちょうど良かったという回答が大半で、総合的に評価の高い印象を受けました。中には「DX推進に関して強い意図を感じた」との回答もあり、我々の意図や意義を感じていただけたようで良かったです(笑)。
他には、取り扱う事例が具体的、内容が実務的ですぐに実践できる、明日から試してみるといった意見もありました。研修の企画段階で、座学に留まらず、実際の自身の実務でどう活かせるか、どの程度役立ててもらえる研修にできるかも重要視していたので、狙い通りで嬉しいです。
松尾 広告というテーマで、実際どうやって広告を運用するのかという話ではなく、代理店とどうやって付き合っていくのかという内容でやらせていただきましたが、「広告代理店との打ち合わせの際に深い議論ができるようになった」という感想をいただきました。
清水 今回の研修は実践寄りの内容だったので、普段デジタルマーケティングなどに触れている方をメインターゲットに募集を行いました。その関係でどちらかというと普段より業務でSNSや広告運用を行っている参加者が多かったので、そのような感想があったのかと思います。
松尾 全体的にポジティブに受け取っていただけたようでよかったなと思います。

松尾 今回の研修は“ブリッジパーソンの育成”をテーマに、あらゆる方にデジタルを活用していただきたいという内容になりました。
木下 私の所感としては、これ以上ライトにする必要はないと思っています。今回がライトだったというわけではありませんが、幅広いジャンルについて浅く広く触れたという感じでした。この先は、今やっている業務に対しての深掘りになるのかなと思っています。たとえば、広告担当だけを集めて少数精鋭のクラスで、20時間程度の研修を行うといった形です。
松尾 かなりヘビーになりますね。
木下 ヘビーにしていく必要があると思っています。
松尾 そこまでいくと、個別で研修を行ったほうがいいかもしれません。その辺りが研修の難しさでもあります。
木下 東急不動産ホールディングスとして研修を行う以上、やはりある程度の受皿の広さは必要だと思っています。しかし、個人個人が抱えている悩みはその人だけのものなので、尖り方と裾野の広さのバランスが難しいと感じています。
松尾 今回の研修後、顧客調査とSEOに関しての質問が多かったという印象があります。広告やサイト関連よりも、顧客解像度やテクニカルな領域のほうに関心が高いということはあるのでしょうか。
木下 オフラインでの開催ということも要因のひとつではないかと思います。
松尾 個人的にも、研修後に相談を受けられたりするので、オフラインのほうがやりやすかったと思っています。
松尾 今回の研修で印象的な部分はありますか?
木下 私は、サイト改善についての研修です。個人的には、ビフォーアフターで改善点が言語化され、論理的に自分の中に落とし込めた点がとても良かったです。他の研修では、自社のDXに関する課題をディスカッションして終わるものが多く、スッキリとした納得感が得られるものは少ないと感じていました。そんな中で、今回の研修のような内容に触れられたことは、とても良かったと思います。
清水 私も、木下が申し上げたサイト改善をテーマにしたグループワークが一番盛り上がっており、印象的です。webサイトの改善すべき点についてグループで議論した後、講師の方より解答解説を聞き、その解答を踏まえグループでもう一度話し合うという時間を設けられたことは初めての試みながらも効果的だったように感じました。
松尾 おっしゃるとおり、みなさんビフォーよりアフターのほうがいい提示だとおっしゃっていたので、リアリティを持ってやれたのがよかったのかなと思います。
清水 ワークで出した自分たちの考え方が少し違っていたということをグループメンバー全員で振り返り、実感を得ることができたのは良い経験ですね。
松尾 初回に顧客調査の研修をやっていたので、なおさらセットで実施してよかったのかもしれないと思います。多分、自社のサイトを主観的に見ていると、自分たちのよさばかり伝えようとしてしまうことがよくあります。客観的に見て修正するということがあまりできないので、顧客調査に加えてデータ解析に基づくサイト改善というのが、うまくハマってよかったのかもしれません。
あとは、特殊スキルが不要という点ですね。SEOや広告ではどうしてもスキルが必要になってきますが、サイト改善はスキルがなくてもできる分野だったのがよかったと思います。

サイト改善研修のワークショップ
松尾 今後、どんな研修を行っていきたいと思っていますか?
木下 現在の研修は、東急不動産ホールディングス全体でやりつつ、参加者が仕事の合間に受けていただいているものとなっています。そのため、なるべく短時間にしつつ網羅性のあるコンテンツにするようにしました。
今後は、もう少し個別の内容を深掘りして、全体で40~50時間くらいになるように、定期的に開催できるようになればいいと思っています。
松尾 サイトに関しても部分的に宿題を出して、次回、回答していくという形にしてもいいですね。
木下 宿題を課して、次の回にそれを発表してもらう。そしてフィードバックを受けて講義をして、ワークをする。それを1週間に1回2時間で、半年行う。学んだことを身に付けるという意味では、そのような仕組みがいいのかなと思っています。
松尾 教材を用意して投げ続けるというのがポイントですね。多分、具体的なデータがあるとやりやすいと思います。架空の設定でやっていくとリアリティがなくなっていくというのが難しいところだと思います。
弊社の「AIアナリスト」というサービスは、研修に近い形で利用されている方も多くいらっしゃいます。月に1回のミーティングで2~3件の提案を出し、それを次回改修して、効果検証するといった形で、いわば月1回のブートキャンプのように進めています。そのため、研修後に研修を受けた事業部の方々から「AIアナリスト」を導入したいというお声がけをよくいただきます。
木下 設計に時間をかけるということであれば、そのような方法も考えられますね。
松尾 御社の社員のみなさんは、真面目にワークショップに取り組んでいただいているという印象があります。最初は、参加者のみなさんがどれくらい本気で取り組んでいただけるか不安だったんですが、とても成長意欲を感じました。
木下 任意参加、有志参加にしたというのもよかったかもしれません。自分の業務に必要性を感じて学びに来ている人が多かったと思います。
松尾 今回、かなり事業部をシャッフルしてテーブルを組まれていました。ほとんどが初対面という感じだったのでしょうか。
清水 参加者同士はほぼ初対面です。本研修は東急不動産ホールディングス内のグループ会社より多種多様な部門の従業員が集まっているので、あえてグループワークでは所属先が固まらないよう散らしました。普段、グループ会社が同じ場に集まる機会は多くはないので、各社の事業や実情、取り組んでいる施策について知ってほしいという意図がありました。
松尾 だからフラットに意見が出ていたのですね。
松尾 下期もまたお付き合いさせていただくことになります。下期は顧客のLTV向上ということで、契約を取ったあとにどうやってファンになっていただくかというところをメインに研修をやっていこうかと思っています。ご要望などがあればお聞かせください。
木下 LTVの話になると、東急リゾーツ&ステイやウェルネスの分野、ホテルやスキーの予約といった話になりがちです。それだけでは「またウェルネスの話か」となりがちなので、コンテンツ設計はしっかり行っていきたいと思います。たとえば、商業施設などをテーマにしたいですね。これだけ多くの商材と関わり方があるので、その一部を切り出して、ワークとして取り組みたいという思いはあります。
松尾 相互理解という意味でも、いろいろな商材を扱ったほうが研修としての質も高くなるということですね。
木下 プロダクトマネージャーの研修などを行うと、最終的にテーマが全部リゾート系やホテルになってしまったときがあって。取り上げやすいテーマではあるんですが、もったいないなと思っていました。そこをコントロールしていけたらと思います。
松尾 短期集中でやればやるほど、そのような選択になりがちですよね。下期の研修は3日間あるので、初回に事業理解を入れつつ、どう伸ばしていくかという形で検討させていただきたいと思います。
松尾 最後に、取り組んでいきたいテーマや、人材育成の領域でやりたいことなどがありましたらお聞かせください。
木下 私はブートキャンプ的に、もう少し尖ったものをやりたいですね。
清水 今回の研修でDX、デジタルマーケティングの触りの部分を網羅的に学べたと思うので、今後はどこか一部分を切り取って、実践的で強度の高いものをテーマにした研修を行いたいです。また、既にDXへ関心のある人は本研修のように自ら手を上げ研修やイベントに積極的に参加をするため、そうではない人たちとのDXリテラシーの差が開いてしまうという懸念があります。何らかの形でそのような人たちを引き上げていくのも我々のミッションだと考えています。
松尾 実際、こういった方々もデジタルで買い物をし、当たり前のようにLINEを使っています。しかし、SEOや広告となると身構えてしまう。今回は顧客調査をテーマにした研修の中で、顧客インタビューの動画を見ていただきましたが、次回は顧客側の立場に立っていただくことで、よりリアリティが生まれると思います。そのあたりの研修の開発についても、お気軽にご相談ください。
木下 研修だけではなく、事業面でも協業しながらそこにつなげていくということもできたらいいなと思いますし、最終ゴールはそのような気もしています。
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