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2019.07.31

一般的に、WebサイトのCVRを向上させる手段の一つとして、サイトリニューアルがある。確かに、古い旅館のように改修を重ねて建て増し構造となってしまったサイトを一から造り直すことで、CVR向上が期待できるかもしれない。また、企業がWebサイトのリニューアルを行う際、特に理由はなくなんとなくそれが行われるという場合もあるようである。
しかし、Webサイトリニューアルによって実際に何を変えるのかについては、明確な基準があるわけではなく、その内容は企業によって違いがあるのではないだろうか。例えば、ある企業にとってリニューアルとはデザインや書式の変更であるかもしれないが、別の企業では新たなコンテンツの配置であるかもしれない。
また、Webサイトリニューアルはコスト(費用・労力)のかかる施策である。CV・CVR向上を目指すとき、高いコストを支払ってWebサイトリニューアルを行うしか方法はないのだろうか。
本調査では、まずサイトリニューアルによりCV・CVRは改善するかどうかを検証する。さらに調査結果の分析を行い、CV・CVR向上のためのWebサイトのベストな改善方法を提言することを目的とする。
まず、株式会社WACULの提供する、AIがWebサイトの診断から改善提案まで自動で行う「AIアナリスト」上に登録されている約3万サイトの中から、企業のプレスリリースなどの公式な発表でWebサイトのリニューアルの実施が確認できたサイトの中から、無作為に20件抽出した。調査サイトは無作為に抽出したが、その内訳は、ECサイト7件、BtoBサイト(法人向けソリューション)6件、BtoCサイト7件であった。
サイトリニューアルにCVに関連する効果が得られた効果を確かめるために、対象サイト20件に「AIアナリスト」を用い、サイトリニューアル直前31日間、直後31日間のCV数、CVRを計測した。
また、過去のサイト状態を記録しているサービス「Internet Archive: Wayback Machine」を用い、リニューアル前後のサイトを比較してどのような変更が加えられるのかについて調査した。
このアプローチにより、リニューアルによる改善がどの程度見られたのかを把握し、(1)そもそもリニューアルによってCV・CVRの改善が見られるのか、(2)CV・CVRの改善のためにはどういったリニューアルがよいのか、を明らかにした。
調査サイト20サイト中、CV・CVRのいずれかが上昇したサイトは3割。
一方、いずれも上昇しなかったサイトは7割。
低い確率で効果が得られたとしても、CVRは最大1.2倍程度。
Webサイトリニューアルは、デザイン、書式、レイアウトなどの「表層的変更」と新規コンテンツ配置やCV定義変更などの「構造的変更」の2種類に分類される。リニューアルとは表層的変更であると理解されている可能性が高い。
構造的変更を行ったサイト全てでCV・CVRのいずれかが改善。表層的変更を行ったサイトではCV・CVRのいずれかが改善したのは2割。CV数・CVRがいずれも悪化したサイトは7割。
表層的変更はサイトの直帰率を上昇させる要因となる確率が高い。構造的変更のみ行った場合、直帰率が上昇する確率は低い。
はじめに、WebサイトリニューアルによりCV・CVRにとって好影響があるのかについて検証した。
まずはCVRについてである。調査サイト20件中、4件のサイトではCVRは改善した。しかし、16件のサイトではリニューアル前に比べてCVRは変化なし、もしくは悪化していることが明らかになった(リニューアル前と同じ:3件、リニューアル前より悪化:13件)。
次にCV数についてである。調査サイト20件中、5件のサイトではCV数は改善した。しかし、15サイトではリニューアル前に比べてCV数は変化なし、もしくは悪化していた(リニューアル前と同じ:3件、リニューアル前より悪化:12件)。

調査結果をさらに整理し、「CV数・CVRのいずれかが改善した」サイトと「CV数・CVRのいずれも改善しなかった」サイトを区別した結果、前者は6件、後者は14件であった。

この調査結果により、Webサイトリニューアルを行っても、CV数・CVRはむしろ悪化することのほうが多いことが示された。したがってCV・CVR的観点からは、Webサイトをリニューアルしても改善する可能性より悪化するリスクのほうが遥かに高い。
では、低い確率ながら効果が得られた場合、その効果はどれほどのものなのだろうか。調査の結果、CVRが改善したサイトのCVR改善率の最大値は1.23倍であった。実際に得られる事業貢献へのインパクトは、Webサイトの規模やCV数、ビジネスモデルにより変わってくるが、小規模サイトであったりCVが直接売上でない場合は、リニューアルで多大なコストを支払ったにもかかわらずこの程度の改善では、費用対効果の観点で問題がある。
ここで留意すべきなのは、数は少ないが、WebサイトリニューアルによってCV・CVRが向上したサイトがあるという点である。これらのサイトにおいてリニューアルはプラスの効果があったということだが、逆効果となったリニューアルと比べて異なる点はあるのだろうか。
次の調査結果IIは、調査サイトごとのサイトリニューアルを分析した結果である。分析の結果、リニューアルで変更を加えればプラスの効果が出る箇所と、変更を加えると逆効果になる箇所があることが明らかになった。これにより、リニューアルによってサイトのどの部分に変更を加えるかがCV・CVRの改善のために重要であるということがが示された。
Webサイトリニューアルは、デザイン、書式、レイアウトなどの「表層的変更」と新規コンテンツ配置やCV定義変更などの「構造的変更」の2種類に分類される。一般的にWebサイトリニューアルとは表層的変更であると理解されている可能性が高い。
構造的変更を行ったサイト全てでCV・CVRのいずれかが改善。一方、表層的変更を行ったサイトではCV・CVRのいずれかが改善したのは20%。CV・CV数がいずれも悪化したサイトは76%。
表層的変更はサイトの直帰率を上昇させる要因となる確率が高い。構造的変更のみ行った場合、直帰率が上昇する確率は低い。
調査結果IIは、対象サイト個別のリニューアルの内容を分析から得られた事実を示している。
対象サイト20件のリニューアル前後のサイトを比較・分析したところ、リニューアル前後の変更点は、以下のように分類された。
フォント変更
カラー変更
画像変更
既存コンテンツ配置変更
ページレイアウト変更
新規コンテンツ配置
既存コンテンツ消去
CV定義変更
CVボタン数変更
検索窓の機能追加
これらの変更点は大きく2種類に分類できる。まず、フォント、カラー、レイアウトなどのWebサイトの体裁に関わる要素の変更である。本レポートではこの類の変更を「表層的変更」と定義する。表層的変更は以下の変更である。
フォント変更
カラー変更
画像変更
既存コンテンツ配置変更
ページレイアウト変更
「フォント変更」「カラー変更」「画像変更」は、文字通りサイトに表示される文字のフォント、サイトが主に使用する色、また表示される商品の画像やイメージ画像の変更である。これによりサイトがユーザーに与える印象が変わり、好影響が見込まれるかもしれない。
「既存コンテンツ配置変更」はリニューアル前のサイト内のコンテンツの表示場所を変更させることである。「ページレイアウト変更」は、サイトの表示されるコンテンツの大きさや、ページ内に占める割合や配分を変化させることである。これらによってサイトの体裁が整い、ユーザーにとって見やすいサイトになることが見込まれる。
表層的変更以外の変更点もある。本レポートでは残りの変更を「構造的変更」と定義する。構造的変更はデザインなどの体裁的な変更ではなく、コンテンツの配置や消去、CV関連の変更などによりサイトの構造に影響があるといえる。構造的変更は以下の変更である。
新規コンテンツ追加
既存コンテンツ消去
CV定義変更
CVボタン数変更
検索窓の機能変更
まず、コンテンツに関する変更である。「新規コンテンツ追加」とは、ECサイトであれば製品の特集サイトの新たな設置や、BtoBサイトではサービスの事例紹介ページの設置である。「既存コンテンツ消去」とは、リニューアル前に配置されていたコンテンツを消去することである。これはページをより簡潔に見せるための工夫であるといえる。
コンテンツに関する変更を行った場合、それがCV・CVRに好影響を与えると考えられる。なぜならば、これらの変更を行ったサイトでは、新しく設置したページの中にCVボタンを配置するなどの変更が取られていたり、不要なページが消去されることによってユーザーにとってCVがより明確になるからである。
次に、CVに関する変更である。「CV定義変更」とは、例えばCVを「来店予約」から「資料請求」に変更させることである。来店予約よりも資料請求の方がユーザーにとって押しやすいボタンであるならば、企業はこの変更を行うことによってより多くのCVを得ることができるかもしれない。CV定義変更にはこのような利点がある。
「CVボタン数変更」とは、ページ内のボタン数を変更させることである。これにより、ユーザーにとってCVの選択肢が増加したり、CVが適切なものに限定されることによって、CVRの向上が見込まれる。
最後に、「検索窓の機能変更」である。これは一つのサイトにしか見られない変更であったが、これはリニューアル前では検索窓に絞り込み検索などの機能があったが、リニューアル後にはシンプルな検索窓に変更されたというものである。検索窓はユーザーの検索というアクションに関係しているため、この点に変更を加えることが有効な一手となるかもしれない。
以上の分類を適用すると、本調査の分析対象サイトは、「表層的変更を行ったサイト」「構造的変更を行ったサイト」「表層的変更・構造的変更をどちらも行ったサイト」の3種類に分類される。
調査サイト20件にこの3種類の分類を適用すると、表層的変更を行ったサイトは10件、表層的変更・構造的変更をどちらも行ったサイトは7件、構造的変更を行ったサイトは3件であった。
表層的変更を含むサイトは20件中17件に及んだ。このことから一般的にサイトリニューアルと言われた時に想起されるのは、デザイン、書式、レイアウトなどの表層的変更である可能性が高いといえる。
実際に、構造的変更と表層的変更では、CV・CVRに与える影響は異なっているのだろうか。以下の表では対象サイト20件のリニューアル種類ごとに、CV・CVRへの影響を整理した。

まず、構造的変更のみ行ったサイトについてである。構造的変更のみを行ったサイトは3件であり、CV数・CVRがどちらも上昇したサイトは2件、いずれかが上昇したサイトは1件という結果となった。構造的変更を行ったサイトでは、いずれもプラスの効果があったといえる。
次に、表層的変更のみを行ったサイトについてである。表層的変更のみを行ったサイトは10件であり、CV数・CVRのどちらも上昇したサイトは1件、いずれかが上昇したサイトは2件であった。また、CV数・CVRがどちらも変化しなかった、もしくは低下したサイトは7件であった。これは、表層的変更のみを行った場合、リニューアルが逆効果になる可能性を示している。
また、構造的変更・表層的変更のどちらも行ったサイトについては7件あり、CV数・CVRのどちらも上昇したサイトは0件、いずれかが上昇したサイトは1件、いずれも低下したサイトが6件であった。このことから、構造的変更・表層的変更を組み合わせてリニューアルを行ってもほとんど効果はないということが示された。
サイトの個別的な分析の結果、「構造的変更」を行い、CV数・CVRがどちらも向上した調査サイトの中には、新たに配置した「特集記事」や「導入事例紹介」のページにCVボタンを配置しているサイトが存在した。新たに配置したコンテンツを活用し、新たな形でCVを獲得するための手法として、この事例は模範的であるといえる。
対象サイトの直帰率について分析を行ったところ、サイトリニューアルの種類により、直帰率に与える影響が異なることが明らかになった。
表層的変更のみを行った10件のサイトで、6件がリニューアル後に直帰率が上昇していた。一方、構造的変更・表層的変更の両方を行ったサイト7件中、直帰率が上昇したのは3件であり、構造的変更のみを行ったサイト3件中では直帰率が上昇したのは1件のみであった。

この結果から、表層的変更には直帰率を上昇させる効果がある可能性が指摘できる。理由のひとつとしては、サイトのデザインや体裁がリピーターにとって見慣れたものでなくなった場合、ユーザーが「いつもと違う」と判断して直帰してしまうということが考えられる。
表層的変更と構造的変更を組み合わせたサイトは、表層的変更のみを行ったサイトよりは直帰率が上昇する確率が低い。これは新たなコンテンツの配置やCV定義の変更により、ユーザーが興味を示すなどの理由で直帰率の低下につながっているかもしれない。
また、数は少ないが構造的変更を行ったサイト3件では、直帰率が上昇したのは1件のみである。表層的変更を含まない変更であれば、サイトがユーザーにとって使い慣れたものでなくなるという事態は防ぐことができる。サイトが大きく変わらないという条件の下で構造的変更が行われる場合、CV数・CVRにとっては有効であるといえるかもしれない。
以上の結果を整理すると、サイトリニューアルを3種類に分類した場合、高確率でプラスの効果が出るのは構造的変更のみを行った場合である。逆に、表層的変更のみを行った場合、高確率で逆効果となる。また、構造的変更と表層的変更を組み合わせて行った場合も逆効果になることが多い。
Webサイトリニューアルは7割がCV改善効果なし。改善した場合も最大1.2倍程度。
Webサイトリニューアルとは「表層的変更」であると理解されている可能性が高い。
数少ない改善したケースはCVプロセスに影響する「構造的変更」を行った場合。
デザイン等の「表層的変更」を行った場合はCV・CVRの観点から逆効果になる。
「表層的変更」はリニューアル直後の直帰率を上昇させる可能性がある。
調査結果から、まずWebサイトリニューアルとは施策として成功する確率が低いということが明らかになった。また、企業によって定義の異なるWebサイトリニューアルは、「表層的変更」と「構造的変更」の2種類に分類が可能であることが示された。
さらに、一般的にWebサイトリニューアルといった時に想起されるのは、デザイン、書式、レイアウトに関する表層的変更である可能性が高いことが明らかとなった。しかし、調査結果によると、表層的変更という意味でのWebサイトリニューアルが高い確率で失敗に終わる確率が高い。さらにデザインや体裁の変更は、サイトを一から作り変えるようなリニューアルのあり方であり、企業にとっても支払うコストが高いと考えられる。したがって、多大な費用をかけて表層的なWebサイトリニューアルを行うことは、改善策として費用対効果の観点から良いとは言えない。
一方、WebサイトリニューアルによりCV数・CVRが向上するのは、構造的変更が行われるときである。具体的には新規コンテンツの追加、既存の不要なコンテンツの削除、CV定義変更などがそれにあたる。このような構造的変更は、いわばWebページの部分的な変更であるといえる。以上を踏まえれば、構造的変更は効率的にCV・CVRの向上を見込めるという意味でも、費用が少ないという意味でも表層的変更に勝るものであるといえる。
したがって、CV・CVR改善のために一般的にイメージされる大規模なサイトリニューアルは不要であり、まず検討するべきなのはサイトのコンテンツ・CVについて見直す構造的変更であると言えるだろう。
高コストで大規模な「表層的変更」のためのWebサイトリニューアルは、成功する確率が低いため、有効な施策であるとはいえない。
CV・CVRの改善のためには、サイト内のコンテンツの見直し・CV定義の変更など、ユーザーがCVに至るまでの過程の「構造的変更」を伴う、大きな改善がなされるべき。特にCV定義の見直しは効果が高く、まず検討すべき。
何のためにリニューアルをするか?という点で不思議な議論がされるケースはよくある。
ちょっとデザインに飽きたというのが結構多い。毎日見ている担当者や社内の人はそうかもしれないが、お客様は飽きるほど来ることはまずない。そうしたサイトではリニューアルで訪問数が減ることがよくある。それでも平然と社内の評判は良いとか、訪問者はそのうちにまた増えてくるはずなどと宣う。
最近ではスマホからの利用が増えているということで、短時間で見られる動画コンテンツを大量生産したりする。本当はサイトの表示スピードを上げるのが一番重要なことになのに、構造を見直すのは大変だからと、不毛なコンテンツ作りに勤しむ。
こうしたリニューアルがはびこるのは顧客にとっても、企業にとっても良い事ではない。
他方、最近ではサイトのリニューアルをするという話を友人達から聞くことはまずなくなった。昔はサイトの作り方も酷くて、どんな企業サイトでも、多少まともな改善をすれば何らかの効果はあった。しかし現在では効果が見られないどころか、小手先のテコ入れでは、むしろ改悪になるケースも少なくない。真っ当なサイト運営できちんと効果を上げている人たちの中で、表面的なリニューアルなど、もはや必要ないと考える人が増えてきたのなら嬉しい。
※この研究レポートはWACUL社提供のAIアナリストに登録されたサイトデータを元に作成されました。
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