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2021.02.09

リスティング広告やディスプレイ広告といったWeb広告は「費用対効果がわかりやすい」「少額で気軽にスタートできる」という理由から、多くの企業が取り組んでいるマーケティング施策のひとつである。しかしながら「表示回数やクリック数は伸びているのに売上にはまったくつながっておらず、ただ広告費を垂れ流してしまっていた」なんて事態がしばしば見受けられるのも事実だ。
そこで今回は、企業においてWeb広告がどのように運用されているのか、アンケートを使って実態を調査した。有識者が語る “あるべき姿” とのギャップがどこにあるのかを突き止め、成果を上げるためになにをすべきかを提言する。
広告主あるいは広告代理店の立場でWeb広告に携わっている方を対象に、メルマガやSNSにおいてアンケート協力を依頼した。
回答対象者 | Web広告に携わる方(広告主や広告代理店など) |
|---|---|
有効回答数 | 60人 |
回答期間 | 2020年12月16日〜28日 |
また、以下の有識者3名から「Web広告の運用はどうあるべきか」について適宜コメントをもらった。アンケート結果と合わせて紹介していく。
研究顧問 | 株式会社ディノス・セシール CECO / 株式会社bydesign 取締役CGO 石川森生氏 |
|---|---|
研究顧問 | ソウルドアウト株式会社 上席執行役員 長谷川智史氏 |
所長 | 株式会社WACUL 取締役 CIO 垣内勇威 |
※当調査結果は2本に分けてレポートする。Ⅰは主に指標(KPI)について、Ⅱは運用体制についてまとめた。
今回のアンケート回答者60人の属性(Web広告への携わり方)は以下のとおりである。



※Q1の結果(灰色)上にQ2の結果(緑)を重ねてグラフ化
Googleリスティング広告はアンケート回答者の90%が利用しており、うち57%は最も出稿額の多い媒体としても挙げている。出稿額が多いということは、すなわち成果(売上)につながっている媒体といえるだろう。
その他によく利用されているのは、順にYahoo!リスティング広告、Googleディスプレイ広告、Facebook広告、Instagram広告、Yahoo!ディスプレイ広告。Facebook広告は最も出稿額の多い媒体としてGoogleリスティング広告の次に名前が挙がっており、SNS広告の中では最も売上貢献度が高いと推測できる。


最も重視している指標(KPI)の選定理由(一部)
クリック率
・リリースしてまもないサービスでまずは認知を目的としているため
・他の数値が測定できないため
コンバージョン数
・売上に直結するから
・顧客獲得の最大化が求められているから
・新規顧客獲得が目的のため
コンバージョン単価
・広告主が目標CPAを設定しているから
・数よりも効率を求められているため
・他のマーケティング手法と獲得効率を比較するため
広告費に対する売上率(ROAS)
・コンバージョンまでを指標すると正確な広告の効果がわからないため
・利益率(ROI)は算出できないためROAS止まり
KPIとして最も票を集めたのはコンバージョン数とコンバージョン単価だった。これらは最重要KPIの上位も占めている。
最重要KPIとしてコンバージョン数を選んだ理由は「売上に直結するから」「顧客獲得の最大化が求められているから」という趣旨のコメントが主だった。また、コンバージョン単価を選んだ理由は「広告主が目標CPAを設定しているから」が多かったほか、「数より効率を求められているため」「他のマーケティング施策と獲得効率を比較するため」という効率重視のコメントが見受けられた。

認知効果は全体の66%が「測定していない」と回答した。コンバージョンまわりのKPIが重視されていることを踏まえても、そもそも認知を目的としたWeb広告を出稿している企業が少ないといえるだろう。

いままでの結果から、ほとんどの企業は売上創出を目的にWeb広告を出稿していると推測できるにも関わらず、広告経由の売上額をチェックしている人は52%に留まった。商談数・売上・LTVいずれもチェックしていない企業は27%も存在した。
以下、「Web広告の目的を売上創出とした場合、なにをWeb広告の指標(KPI)とおくべきか」という問いに対し、有識者3名よりコメントをもらった。
商材やフェーズによって異なる。すでに会員組織を有しリテンション(=既存顧客との関係を維持するマーケティング活動)で売上利益を作ることができる場合、広告によって既存顧客の購買ルートが曲げられるのはあまり望ましくない。重視すべきは「新規顧客獲得のコンバージョン単価」だ。
一方、立ち上げたばかりのビジネスあるいは購入頻度が低い商材の場合は、認知から刈り取りまで各購買ファネルに対し最適な広告とコンテンツの組み合わせが求められ、KPIもそれぞれで異なる。認知はリーチとクリック率、刈り取りはコンバージョン単価をチェックする。それらすべてが目標ROASに収まるよう最適化されるべきである。
代理店視点では「タグで計測した管理画面上のCV数あるいはROAS」を最重視する。なぜなら、近年各広告プラットフォームが提供する自動最適化が進化しており、質・量とも十分なCVデータをアルゴリズムに学習させることができれば成果に直結するようになってきているためだ。
この点を踏まえ広告主側は、成果に相関するCVポイント、および媒体管理画面のCV・ROASと実CV・実売上の乖離率を加味した目標CPAを設定し、運用者へ共有することが大切である。
最速でPDCAを回すためには、簡単かつリアルタイムに計測できる指標でなければならないため、CV数・クリック数・表示回数などを見て判断する。しかしこれだけでは中長期で売上につながらない広告を垂れ流す危険がある。たとえば弊社の場合、毎月500万円の広告を出し順調にCVを獲得していたが、蓋を開けてみるとある媒体に費やしていた300万円は一切売上につながっていなかったことがある。広告結果を売上やLTVのデータに紐付けるのは骨の折れる作業だが、1~3ヶ月に1回は必ず把握しておきたい。
「コンバージョン数」「コンバージョン単価」などアンケート結果から明らかになったWeb広告のKPIの実態は、有識者が見るべきと語るKPIとそこまでズレはない。しかしながら、「なぜその指標を追うのか」という理由には大きな差があった。
「広告主が指定しているからこの指標を追う」「体制上ここまでのデータしか見えないからこの指標を追う」ではなく、ユーザーが認知から顧客化するまでの一連の流れを踏まえたうえで広告のKPIは当然設定されるべきである。いま追いかけているKPIを達成することが本当に最終ゴールである売上利益につながるかどうか、今一度再考してみてほしい。
広告代理店の場合、どうしても一連の顧客接点を把握しづらい側面があるが、広告主からの情報共有なくして適切なKPI設定はありえない。広告がどれほど実際の売上につながっているのか、積極的にヒアリングしよう。
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