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2023.03.12

・コロナの影響で下がった需要を取り戻すべく、グループ会社との連携を強化し、デジタルマーケティングにも注力
・WACULとのプロジェクトでは、マーケティングの全体像の診断から始め、投資が小さくかつ成果の大きいポイントを洗い出し
・メルマガ改善を中心に実施。本文を全削除することで、CVR改善と工数削減を同時に実現
・課題に対する解決策を簡潔に提示、スピーディにソリューションを実施した
・今後は施策を積み重ねながらデータを集積し、ユーザーインサイトの分析に役立てていく
東海旅客鉄道株式会社
営業本部 需要創出グループ・マーケティンググループ グループリーダー
株式会社WACUL
代表取締役
東京大学卒。株式会社ビービットから、2013年に株式会社WACUL入社。改善施策の提案から施策効果の検証までデジタルマーケティングのPDCAをサポートする自動分析・改善提案ツール「AIアナリスト」を立ち上げ。2019年に産学連携型の研究所「WACUL Technology & Marketing LAB.」を創設し、所長に就任。現在、 研究所所長および代表取締役として、事業のコアであるナレッジ創出を牽引。新規事業や新機能の企画・開発および大企業とのPoCなど長期目線での事業推進の責任者を務める。2022年5月、代表取締役に就任。

垣内 まずはじめに、今回WACULが関わらせていただいたプロジェクトについて教えて下さい。
大江 JR東海の営業本部の目標は、1つでも多くの座席を売ることです。販促分野では、グループ会社のJR東海ツアーズやJR東海エージェンシーと連携して動くことが多いです。JR東海ツアーズは、旅行代理店として旅行商品を企画・販売する、JR東海エージェンシーは販促のためのキャンペーンやプロモーションを担うというのがそれぞれの機能です。近年は、コロナ禍で旅行の需要が落ち込んだこともあり、これまで以上にJR東海ツアーズやJR東海エージェンシーが持つ専門性を高めつつ3者の連携を強めることで、新たな旅行の需要を開拓していくことが不可欠です。連携強化のカギになるのは、お互いのデータの連携であり、データに基づくデジタルマーケティングの実施です。そういう流れの中で、WACULさんとご一緒することになりました。
垣内 マーケティング組織ができたのも、とても最近だとおうかがいしました。
大江 私たち公共交通機関にとって最も重要なのはオペレーションです。日々のオペレーションの練度を磨き上げて、できるだけ多くの新幹線を、安全・安定に走らせていく。そうやって引き上げた輸送量をどう販売するかについては、誰に対しても、同じ価格で売る、というのが基本になっています。鉄道運賃が上限認可制であることによく表れているように、鉄道って一種の公共財なんですね。
垣内 それは、特定の人にだけ割引をしたりキャンペーンをしたりするマーケティングの考え方とは全く異なりますね。その後、コロナで状況が変化して、マーケティングに注力するようになったということでしょうか。
大江 全編成の高速化、電源設備などのインフラ強化など、とても一朝一夕にはできない中長期の設備投資をあらゆるセクターで実施して、さらに人的なオペレーションも磨き上げて、東海道新幹線として極限ともいえる輸送量が供給できるようになったのが2020年春でした。不幸なことに、それと同時に新型コロナウイルスがやってきたんですね。一時は需要が9割減ということもありました。そういった状況の変化もあり、これまでの均質的なサービスの安定供給という大戦略は維持しつつも、世界一豊富なフリークエンシーを活かして、どれだけ顧客視点に立った多様な商品を開発し、それを欲するお客様にどう適時適切に情報をお届けするか、というマーケティング戦略がどう考えても必要だろう、という流れになってきたんです。
垣内 WACULに声をかけてくださったきっかけは何だったのでしょうか?
大江 私は以前WEBコンテンツを発行する部署に所属していたこともあり、WEBならではのコンテンツの作り方やメルマガ・SNS・WEB広告などの集客手法は、浅いですけど、一通りは知っていました。そのころ知り合った方の中に、垣内さんの知り合いの方がいらっしゃって。「クライアントの立場に立って、デジタルマーケティングのコンサルをしてくれる人を紹介して欲しい」と相談したところ、垣内さんをご紹介いただきました。
垣内 ただ、最初の提案は通らなかったんですよね。
大江 予算が噛み合わず、最初の提案ではご一緒できませんでした。ただその後に垣内さんが「また何か一緒にやりましょう」と言っていただいたのがすごく嬉しかったのを覚えています。
垣内 会議に参加してくださった沢山の方々が僕の本を読んだと言ってくださって。僕も「これは何かやらないと」と思わされました。
大江 部署の中に垣内さんの本の読者が沢山いたので、これはアピールしなければと思いました(笑)ですので、実際にご一緒できることになってよかったです。

垣内 まずマーケティング全般の改善を行うにあたり、まずはすぐに効果を出せるところを見つけることから始めました。
LP改善や顧客理解を深めるアンケートやインタビューなどがテーマにあがる中、簡単かつ効果が出そうだということで最初に取り組んだのはメルマガの改善でしたよね。メルマガの改善で印象的だったことはありますか?
大江 メルマガを見ていただいてすぐ「本文要らないんじゃないですか?」と言われたのは衝撃的でした。
垣内 皆さん「本当に消しちゃっていいの?」という反応だったことを覚えています。
大江 これまでの内容を大きく変えることもあって、念の為、変更前にテストさせていただいたのですが、その途中でも「こんな簡素でいいんだろうか」という声は結構あがりましたね。「エラー表示されているんじゃないか!」と勘違いしている人もいました。でも、実際に配信してみると、圧倒的に本文をなくしたほうが、結果が良くなったんですよね。WACULさんの手法を取り入れたことで、クリック率は約2倍になりました。
垣内 本文を取り去って、商品だけをシンプルに見せることで、ユーザーがアクセスしたい情報が見やすくなったんですよね。実際にユーザーの行動が変わっただけではなく、本文をなくしてしまったことでオペレーションにも良い影響がありそうです。
大江 圧倒的に工数が下がりました。これまでは本文を作って、それをチェックしてもらって修正して……というやり取りがあったんです。多くの人に送るメールなので、チェックはとても厳しくて、一度でOKが出ることはほとんどありません。その上、チェックは数日かかりますから、1つのメールを作成するにも、ものすごい手間がかかっていました。

大江 ですので、本文を無くす前と後では大きく負担が下がりましたね。本文を作成していた頃は、週に1本メルマガをつくるのが精一杯だったんですが、本文をなくしたことで週に数本出せるようになりました。実際は月に1本のペースで出していたのですが、それが週に2本になりましたね。その分、予約も増えています。

垣内 一本ずつの効果もあがって、工数が下がったことでメールの本数も出せるようになったということですね。今後はさらにシナリオメール(ユーザーのステータスや状態によって出し分けるメール)に挑戦されていくとおうかがいしました。
大江 これまではメールを送るシステム自体が古くて、メールの一斉送信に件数上限があったり、開封率も計測できなかったり、という状態でした。ですので、まずはシステムを変更するところから取り組んでいて、時間はかかっていますが、今はやっと社内テストとして実際のシナリオメールを配信できるところまでたどり着きました。今後はこのテストの結果を活かして、どういったタイミングでどういったことを伝えるのかWACULさんと一緒に考えながら、実際にユーザーにも配信していければと考えています。
垣内 他のデジタルマーケティングの支援会社と比べた際に感じる、WACULの特徴を教えて下さい。
大江 うちの会社はみんなWACULさんが大好きだと思います。打ち合わせがダラダラと長く続かずにコンパクトで、次に実施する内容もすぐに決まる印象がありますね。
垣内 当社ではナレッジに基づいた明確な方向性をご提示するからでしょうか。
大江 他の支援会社では結局は「クライアントのジャッジ次第」という雰囲気のところもあるのですが、WACULさんは、こちらの立場にも立って、対等に話してくださる印象があります。正しくなさそうな施策に関してはきちんと「それは無駄だと思います」とおっしゃってくださるし。
垣内 恐縮です。毎回沢山の人がミーティングに参加してくださっている印象もあります。
大江 最近は、エージェンシーのメンバーも積極的にWACULさんとの会議に出席してくれるようになっています。垣内さんがおっしゃる内容を、エージェンシーが制作しているLPにも反映させようという意図だそうです。
垣内 それはありがたいですね。
大江 社内でも、困ったときに「WACULさんに聞いてみたい」という声があがっていますよ。
垣内 嬉しいです。今後はどういったことをやっていきたいと思われていますか?
大江 少しずつ結果を積み重ねていく時期だと考えています。新幹線は商材としてはグリーン車と普通車、くらいの種類しかありませんし、価格もダイナミックではありません。ですから、その中でできることは限られてはいるのですが、たとえば新幹線に乗ったその先で体験すること、といえば無限にあります。そういうことも視野に入れて、効果的な打ち手を少しずつ見つけていきたいですね。様々なキャンペーンを連続的にやる中で、少しずつステップがあがっていくような取り組みをしたいです。次に繋がるようなデータを集約して分析して、少しずつユーザーのインサイトを掴んでいきたいと思っています。WACULさんとは是非今後も、データ収集の設計からご一緒させていただきたいです。
垣内 こちらこそ、今後もよろしくおねがいします。
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