お問い合わせ
2020.08.11

自社のWebサイトとなるとテキストやデザインの細部にまでこだわって作り込んでしまいがちだが、はたして丹精込めて作ったWebサイトは訪問者にどれほど見られているのだろうか。肝心なCV獲得に寄与しているのだろうか。
今回は、株式会社WACULの提供するアクセス解析ツール「AIアナリスト」に蓄積されたGoogleアナリティクスのデータを用いて、CV獲得を目的としたWebサイト内におけるユーザー行動を定量的に調査した。この結果をもとに、CVR改善のためにどのような施策を打つべきかを提言する。
調査対象はお問い合わせや購入などCV獲得を目的としたWebサイトである「B2Bサービスサイト」「EC」に絞り、ユーザー側も自ら能動的に商品サービスを探している状況といえる自然検索に限定した。
ユーザー行動を表すデータとしては以下4点を抽出。※各用語の解説はレポート下部へ
直帰率
平均セッション時間
PV/セッション
全CV数のうち、入口ページ→フォーム→CVと直行したCV数の割合
細かな調査条件は以下のとおりである。
データ抽出元 | |
|---|---|
対象サイト | AIアナリスト登録サイトから以下を抽出 |
対象ユーザー | 自然検索で流入した新規ユーザー |
データ抽出期間 | 2020/05/01〜2020/05/31 |

具体的なイメージを湧かせるため、オフラインの商談に置き換えこれらのデータを解説する。対面であればゆっくり60分かけて相手の課題や理解度に合わせながらサービスを紹介できるが、まず約40%のユーザーは資料の1枚目をちらっと見ただけで「それ以上の説明は結構です」と即座に席を離れてしまう。留まってくれたユーザーであっても、説明に得られるチャンスはたったの3分、見てもらえる情報は資料3〜4ページ分だ。まさに展示会において立ち話でサービスを紹介するのと同等の短さである。
また、全CVの58%はトップページ→フォーム→CVという直行ルートにて獲得している。ここまで割合が高いのは、CVユーザーの多くが「このサービスに興味があるのでさらっと見て問題なさそうであればすぐに営業担当を呼びたい」という意思をあらかじめもった状態で指名検索し、Webサイトへと流入している証拠だ。
つまりB2Bサービスサイトは、営業担当の代わりにサービスを説明し興味を喚起させる役割ではなく、既に興味をもってくれているユーザーを営業担当へとつなぐ役割を担っているといっても過言ではない。
これらを踏まえると、B2BサービスサイトにおけるCVR改善のポイントは「いかに気持ちよくトップページからCVへ直行してもらえるかどうか」にある。ファーストビューにCVボタンやフォーム自体を露出させることは最優先で対応すべきだ。ファーストビューにおいてどのようなCVボタンが有効かは、研究レポート「B2Bのランディングページのベストプラクティス研究」を参考にしてほしい。
また、Webサイト訪問前にCVにつながるかどうかの勝負が決まっているケースが多いことを踏まえると、当然ながらWebサイトを改善するだけではCV獲得施策として不十分だ。手前の接点となる比較サイトにきちんと情報を掲載する、ポジティブな紹介や口コミがもらえるようサービスを磨き抜く……といった取り組みが欠かせない。
ECの場合、自然検索から入口となるページが3パターン存在するためそれぞれに対し数値を算出した。

こちらもイメージを湧かせるために、ECをとあるアパレルの路面店に置き換えて解説する。トップページや商品一覧ページから流入したユーザーは3〜5分かけてさまざまなアイテムを5〜10個手にとりチェックする。何も触れることなく引き返してしまうのは20〜30%程度であり、お店の入口から訪ねてきたユーザーの過半数はしっかりと回遊している。レジへ直行するユーザーが圧倒的に少ないことを踏まえると、そもそもこの日に購入したいわけではなく、下調べを目的としたユーザーもなかには含まれるだろう。
一方、商品詳細ページから流入した場合は、1つだけ棚に陳列された服を購入するか否か判断するところから始まる。求めているアイテムと異なれば、半数のユーザーが一瞬で店を出ていってしまう。ただしすぐ隣の棚に近しい服や人気の靴があれば、店に残りそれらを手にとってくれる可能性はある。現にアイテムを購入したユーザーのうち、最初に見たアイテムをまっすぐ購入したのは2割しかいない。
このようにECはトップページや商品一覧ページから流入する場合と、商品詳細ページから流入する場合とで大きくユーザー行動が異なることをまず理解する必要がある。商品詳細から流入する場合、購入につながるか否かの勝負は一瞬だが、仮に最初の勝負に負けたとしても、別の商品を提案できれば購入につなげられる可能性がある。
ECのCVR改善のポイントはずばり回遊にある。特に商品詳細ページは、類似商品や関連商品をすかさずユーザーへ提案することがCV獲得に寄与する。Amazonのように、該当商品の口コミよりも上にレコメンドを入れるのは有効だ。
また、研究レポート「ECの特集ページのベストプラクティス研究」のとおり、経由することでCVRが高まる「特集ページ」への動線をフッターに設けるのもおすすめである。クーポンなどを提示して大手ECではなく自社ECで購入してもらうための動機づけをおこなうのも1つの手だ。
Webサイトにおいて、ユーザーは実に自由に行動する。興味のない情報から離れるのは一瞬だ。それらを理解せずにWebサイトを作ってしまうと、CVへとつながる貴重なチャンスを逃してしまう可能性が非常に高い。
B2Bサービスの場合、Webサイトは営業担当を呼ぶ仲介役ともいえる。気持ちよくCVへ直行してもらうために、ファーストビューにCVボタンやフォーム自体を露出させるといった工夫が重要だ。
ECの場合、ユーザーが興味をもってくれそうな商品はどんどん提案し、サイト内を回遊させることがCV獲得につながる。ユーザーの目につく場所に回遊の動線がきちんとあるかどうか、今一度自社サイトを見直してほしい。
※用語の解説
1. 直帰率
Webサイトを訪れたセッションのうち、1ページしか見ずにWebサイトを離れたセッションの割合(解説記事はこちら)
2. セッション
Webサイトに流入してから離脱するまでの一連の流れ(解説記事はこちら)
3. 平均セッション時間
セッションにかかった平均時間
4. PV/セッション
1セッションあたりの平均PV
BtoBサービスの場合、もちろんCVへ直行せずWebサイトをじっくり読み込むユーザーも存在するし、そのような行動をとった半年後に転職先等でCVへ至る可能性もある。ファーストビュー以外の情報が全くもって不要というわけではなく、読み込んでもらえることを前提にWebサイトを作らない、ということが重要だ。
またECサイトでは、データ上は商品詳細ページからのルートのCVが高く思えるがショッピングを楽しんだり下見したりする人が多いことを理解し、前後の文脈での回遊行動を巧みに誘導することに着目したい。
Webサイトをはじめとするデジタル媒体は、ユーザが一人で誰の邪魔も受けずに利用する「セルフサービスチャネル」である。そのため少しでも期待とズレたページを見せられれば、即座に離脱してしまう。企業側が思いを込めて作ったコンテンツも、ユーザが求めていなければ一切読まれない。言い換えればデジタルでユーザを「説得する」ことは不可能である。期待に沿ったコンテンツを提供していく中で、ユーザと利害が一致したときだけCVが発生するのだ。
※この研究レポートはWACUL社提供のAIアナリストに登録されたサイトデータを元に作成されました。
AIアナリストについて詳しくはこちら
本レポートをPDFダウンロードする
2025/11/5
SEO順位は生成AIの回答に関係するか?生成AIに「おすすめのパソコン教室を教えて」と質問。1,176回分の結果を比較検証
2025/4/24
「予算増額なき顧客」は事実、優先度が下がる。Web広告代理店の実態調査
2025/3/25
Webサイトの「フルリニューアル」は売上を伸ばすために本当に必要か
2024/12/6
WACULの研修はカスタマイズ性が魅力。実務に直結した内容設計でDXリテラシーの向上を実感 - 東急不動産ホールディングス株式会社 DX人材育成研修事例
PDF版でご覧いただけます
ダウンロードする