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2023.02.01

あなたは本当に顧客の気持ちをわかっていると胸を張って言えるだろうか?顧客理解が重要なマーケティングにおいて、「ユーザ調査(顧客調査)」はどの企業も取り組むべき施策の一つだ。弊社WACULもマーケティングDXのコンサルティングで戦略の立案/見直しをおこなう際に、積極的に取り入れている。
しかしながら、ユーザ調査はそれ自体がコンバージョンを生み出すものではないせいか、広告やSEOといった他のマーケティング施策ほど普及しておらず、ノウハウも広まっていない。「まずは顧客について広く知りたい」といった漠然とした目的のもと実施され、「新たな気付きは特になかった」といった残念な調査も散見される。
そこで今回は「ユーザ調査」の勝ちパターンを見つけるべく、130人にアンケート調査を実施した。
130人の回答者のうち、「アンケート調査」を実施したことがある人は80.3%、「1対1インタビュー」は63.1%、「グループインタビュー」は57.7%だった。なかでも1対1インタビューは年間約10人に実施されており、「5人目でユーザの傾向がおおよそ把握できる」という結果が出た。
「自社の強み/弱みが明確になった」「必要な施策が明確になった」など、ユーザ調査がなにかしら役に立ったと回答した人は92.0%、「思ったよりも役に立たなかった」と回答した人は8.0%に留まった。また、全体の8割が「調査の目的を達成できた」と回答しており、ユーザ調査は総じて実施者にとって満足度が高いものであると言える。
アンケート調査・1対1インタビュー・グループインタビューという3つの調査形式のうち、1対1インタビューのみ「思ったより役に立たなかった」と回答した人が一人もいなかった。1対1インタビューは調査設計の精度に寄らず、誰もが再現性高く気付きを得やすい形式と言える。
「そもそも調査対象が間違っていたことにより、調査結果が役に立たなかった」と回答した5人のうち、4人は「競合他社の既存顧客」に調査をおこなっていた。一方、役立つ調査結果を得られたケースの多くは「自社の既存顧客」を対象にしていた。
調査結果が思ったよりも役に立たなかった理由として「モデレータ(インタビューの進行役)のスキル不足で聞きたいことが聞けなかった」を挙げた人が38.1%いた。この場合におけるモデレータの特徴は「恣意的な回答に誘導しようとしていた」だった。
役に立ったインタビュー調査とそうでない調査を比較すると、「自部署だけでなく他部署のメンバーや事業責任者にもインタビューに同席してもらっているかどうか」に差が出た。調査結果が役に立たなかったケースでは、自部署だけに閉じて調査をおこなっていた。
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株式会社マーケティングアプリケーションズ社が提供するリサーチプラットフォームを活用し、自社のマーケティング活動の一環としてユーザ調査をおこなったことがある130人にアンケートを実施。262回分のユーザ調査について分析した。


ユーザ調査をおこなったことがある回答者130人のうち、最も実施率が高かったのはアンケート調査だった。また、アンケート調査とグループインタビューは年間約3回、1対1インタビューは年間約10人に対して実施されている。
1対1インタビューにおいて「ユーザの傾向がおおよそ把握できた人数」と「これ以上調査しても同じ傾向しか出てこないだろう、と飽きてきた人数」をたずねたところ、以下の結果となった。

1対1インタビューの被験者を募集する際は、まずは最低5人集めるとよいだろう。

調査の目的には「商品や施策の改善ポイントを見つけたい」(53.1%)、「調査結果にもとづき特定の施策の実施可否を判断したい」(45.4%)、「まずは顧客について広く知りたい」(42.0%)が多く挙げられた。
また、掲げた目的に対して達成できたかどうかを自己評価してもらったところ、8割以上「達成した」という回答だった。

「自社の強み/弱みが明確になった」「必要な施策が明確になった」などユーザ調査がなにかしら役に立ったと回答した人は92.0%と多く、「思ったよりも役に立たなかった」という回答は8.0%に留まった。
調査実施者にとって、ユーザ調査の満足度は総じて高いと言える。

思ったよりも役に立たなかった理由には、「新たな発見よりも既知の情報が多かった」(42.9%)、「モデレータのスキル不足で聞きたいことが聞けなかった」(38.1%)が挙げられた。
以降、「役に立った」と回答した人と「思ったよりも役に立たなかった」と回答した人のデータを比較することで、ユーザ調査の勝ちパターンを探る。

1対1インタビューのみ、「思ったより役に立たなかった」と回答した人が見事に一人もいなかった。1対1インタビューはモデレータのスキルや調査対象者に寄らず、再現性高く気付きを得やすい形式と言える。

思ったより役に立たなかった調査は、役に立った調査と比べて「競合他社の既存顧客」「自社の社員」を対象にしている割合が高い。
現に、「そもそも調査対象が間違っていたことにより、調査結果が役に立たなかった」と回答した5人のうち、4人は「競合他社の既存顧客」に調査をおこなっていた。


後者は全体的に各工程を自社で担った割合が高く、「両社でおこなった」という回答も少ない。外部パートナーとうまく協業できず、「自前でなんとかしよう」とした結果、いい調査結果を得られていないと想定される。

インタビュー調査が思ったより役に立たなかったケースの9割は「オフライン/対面」での実施だった。これには「わざわざ対面でセッティングしたのに、得られた気付きが少なかった」という心理が働いている可能性がある。

「恣意的な回答に誘導しようとしていた」「被験者よりもモデレータのほうがよく喋っていた」という2項目において大きな差が出た。過去の事実より意見を聞いてしまうモデレータより、回答を誘導してしまうモデレータのほうが悪影響が大きいと言える。
参考までに、1,000回以上の経験を持つベテランモデレータが担当した調査の場合、モデレータへの評価は以下のとおりである。

きちんとトレーニングされたモデレータがインタビューを実施すれば、調査結果への悪影響は抑えることができる。



思ったより役に立たなかった調査は総じて「共有していない」割合が高いが、 よい調査結果が得られなかったために事後共有していないケースも多分に含まれるだろう。
ただし、事後ではない「インタビュー同席」においても結果を共有していない割合が高い。役に立たなかった調査は、自部署だけに閉じた調査をおこなっている傾向が見受けられる。

アンケート調査におけるクロス集計の有無や軸の数は、調査結果に影響しないことが分かった。
上記より導き出した「役立つ調査結果が得られる条件」を “すべて満たした” 調査のみを抽出し、成果を比べてみた。
形式は1対1インタビュー
対象は自社の既存顧客
モデレータが恣意的な回答を誘導していない
他部署のメンバーや事業責任者にインタビューに同席してもらう

どの項目をとっても「役に立った」という回答の割合が高く、平均すると175%も気付きが多い。
すでにユーザ調査には満足している人が大多数だったが、現状に甘んじることなく、より気付きが得られる方法にチャレンジいただきたい。
1対1インタビューは、グループインタビューやアンケート調査に比べて、誰もが再現性高く気付きを得やすい。そのため、調査設計やモデレートに不安がある場合は迷わず「1対1インタビュー」を採用すべきである。なお、およそ5人目でユーザを把握できる傾向があるため、最低5人を目標に実施するとよい。
「そもそも調査対象が間違っていたことにより、調査結果が役に立たなかった」と回答したほとんどの人は「競合他社の既存顧客」にユーザ調査をおこなっていた。新規事業立ち上げ時など「競合他社の既存顧客」を選ばざるを得ないケースもあるだろうが、基本的には「自社の既存顧客」を調査対象にしよう。
インタビューにて被験者からありのままの事実を聞き出すには、当然ながら恣意的な回答を誘導したり、言質を取りにいってはならない。被験者を緊張させることなく、話しやすい空気を作ることも重要だ。モデレータの振る舞いは調査結果への影響度が高いため、経験豊富なベテランにお願いするのがベターである。現に、役立つ調査結果を得られたケースにおいては、パートナー企業と協業している割合が高い。
調査結果が役に立ったと回答した人は、「自部署だけでなく他部署のメンバーや事業責任者にもインタビューに同席してもらっている」傾向があった。インタビューのモニタリングには顧客視点を養う効果が高いため、自部署だけに閉ざすことなく、どんどん周囲も同席させよう。
ユーザ調査がなにかしら役に立ったと回答した人は92.0%と、ユーザ調査は総じて実施者にとって満足度が高い。だからこそ、現状のユーザ調査に甘んじてしまうリスクもある。当調査で導き出した勝ちパターンを参考に、より多くの気付きを得られるユーザ調査を追求いただきたい。
以前ビービットで行った、自社サービスのUX改善に関与するビジネスパーソンに対する調査においても、「実績があがらない」「ビジネスインパクトがでない」という悩みを抱えている企業が多数いらっしゃいました。取り組みの内容を見てみると「社員を対象としたユーザビリティテスト/アンケート」、次いで「総合コンサルティング会社に依頼する」が多いという結果でした。逆に、UX専門の支援企業に依頼したり、専門家を抱えている方々は、アクティブ率やリテンション率、CVなど、さまざまな成果を実感している回答が多く得られました。
UXはビジネスにおいて非常に強い力を発揮するがゆえに、グローバルの先進企業では部署や専門家は当たり前のように置かれ、経営レベルでUXが議論されています。
しかし、まだまだそのような状況にまで至っていない日本においては、本レポートにもあるように、UXの専門知識がない状態で間違った方法で調査やデザインをしてしまった結果として、UXが軽んじられるような傾向があります。実際、1対1のユーザ調査は効率が悪く見える半面、意見や感想といった嘘か本当かわからないような曖昧なものではなく、時系列を踏まえたユーザ行動の文脈理解や、信じるに足るリアルな反応を得られます。インプットやインサイトの質は、他の手法では得られない、確かなものになっていきます。
本レポートを通して、改めてこうした事実を伝えていく専門家の取り組みの重要性を感じています。正しい方法を身に着けていくことで、日本においてUXアプローチが当たり前になることを切に願います。
私は累計2,000名近い「1on1インタビュー」を実施しており、代表に就任したあとも年間100名以上のモデレーターを担当しています。私が「1on1インタビュー」にこだわるのは、顧客の解像度を高めるために最も有効な手段であると同時に、社内関係者の目線を揃えるためにも非常に有効な手段だからです。
この調査結果にもある通り「事業責任者の同席」は、社内調整のために欠かせない要件です。さらに若手マーケターの育成にも、調査の見学は有効です。チームメンバー全員で、定期的に顧客インタビューを観察する習慣を作れば、社内調整の負荷も、施策が失敗する確率も下がります。「1on1インタビュー」は調査であると同時に、社内関係者向けの「ショー」であることも忘れてはならないのです。
また「競合調査」から得られるインプットが少ないという回答は的を得ています。筋の悪いマーケターは競合ばかりを気にかけていますが、競合もまた暗中模索で試行錯誤を繰り返す普通のビジネスパーソンに過ぎないため、調査しても真似をしても大きな成果には繋がりません。自社の顧客の中で、偶然にもロイヤルカスタマーになってくれた人を深掘りし、その過程の再現性を高めることが最も簡単かつ効率的です。
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